14年ぶりの新規航空会社
トキエア 長谷川政樹 社長:
日々の緊張感がむしろ今まで以上に、時間軸もあるのでちょっと高まっている
就航予定日を前にした気持ちについて聞かれ、トキエアの長谷川政樹社長は笑みを浮かべながらこう答えた。
2023年3月末に国土交通省から航空運送事業の許可を得たトキエア。
国内線の航空会社の新規参入は、大手傘下や外資系を除けばフジドリームエアラインズ以来、14年ぶりとなる。
6月末に予定する新潟と札幌丘珠空港を結ぶ路線の就航に向けて、現在各部署の連携や緊急時の対応などについて最終確認に入っていた。
トキエア 長谷川政樹 社長:
それぞれの部署が協力・連携して飛行機が飛ぶが、その際の規定がきちんと“横軸”で入っているかどうか。一体感というか、隣の部署ともきちんとコミュニケーションをとる。社員はそんな自覚を持って、今ざわざわと動いているところ
気になる運航スケジュールや運賃も国との最終調整の段階に入っていて、長谷川社長は毎日のように航空局と電話でやりとりをしているという。
トキエア 長谷川政樹 社長:
「課題があった」「クリアした」と思うと、また課題が出てくる…。その繰り返し。とはいえ、今はもう社員も100人以上いるので、みんなが一人一人「自分が解決する」という自覚の中で対応している
課題は“新潟の認知度”「まだまだ低い」
無事に就航ができたとしても、新潟からの利用だけでなく、就航先から新潟に来る需要もなくては、路線は継続できない。
新潟、そしてトキエアの認知度に関しては、大きな課題を残していると長谷川社長は話す。
トキエア 長谷川政樹 社長:
北海道の人への認知度は正直言って、まだまだ低いと思っている。新潟にどんなものがあるか、まだ十分伝わっていない。北海道の商工会議所とか、色んなところと連携しながら「トキエアをまずは知ってもらう」ということが必要なので、そういったPR活動も並行して色々対応している
トキエア 長谷川政樹 社長:
芸妓の文化もあるので、そういった文化的なこと、食、あとはスポーツ。サッカーもJ1のチームがあるので。新潟県とも一緒に北海道に出向いて、積極的にPRをやっていきたい
就航後の展望は…「世界に照準」
トキエアが就航後に目指すのは、“人の輸送”だけではない。
トキエア 長谷川政樹 社長:
なかなか県外に運び切れていない食材などあると思う。そういったものを飛行機で、瞬間移動とは言わないが、早いスピードなので、そこに乗せられるような物の開発・開拓。そういったところで議論をしているところ。逆に、北海道の物も(飛行機で)新潟に午前中のうちには届くので、「空港に行けばこういった物が手に入る」とか、お客様のところにまで届く仕組みを早く確立して利用いただきたい
さらに、トキエアでは積極的に外国人を社員に採用。
「世界照準を見失わないように」と、海外企業との連携や航空人材の育成施設の整備も模索し、世界を見据えた組織づくりを目指す。
トキエア 長谷川政樹 社長:
海外企業からもかなり興味をいただいている。海外の皆さんが揃って日本・東京に来て、カンファレンスとか色々あるが、そういった時も意外と皆さんに知っていただいているというのは感じる。やはり取引先でも日本国内だけを見ているのではなくて、海外の航空会社で興味を持っているようなところと連携したり。整備もそうだが、効率よく対応してもらえるのであれば、国内にこだわらずお願いしていく
子ども名義の出資も…期待を乗せた”翼”
一方で、出資に関しては、企業だけでなく、個人が小口で出資できる仕組みも設けている。
佐渡市で事業計画を説明して回っていた際に、「自分の子どものためになんとか出資したい」などといった、地元の人の声を聞いたことがきっかけでこの仕組みを設けた。
中には、自分の子どもの名義で出資をする人もいるという。
トキエア 長谷川政樹 社長:
「次世代のために」ということで、一生懸命協力をいただいた。それに報いるような形で運航をきちっとやっていきたい
多くの県民の思いと夢を乗せて就航の日を目指すトキエア。長谷川社長は、空港周辺や地域産業の活性化に貢献したい考えだ。
(Q.新潟が“航空のまち”になることもできる?)
トキエア 長谷川政樹 社長:
十分あると思う。どんどんトキエアだけじゃなくて、新潟の産業を含めてPRをしていきたい。新潟の会社で当然、新潟の皆さんから乗ってもらうことを第一の目標につくった会社。目標を持って、ちゃんとお客様にお応えできるように準備を進めていきたい
新潟を羽ばたかせる新たな翼を担うまで、あと1カ月を切っている。