ナマコの養殖ピンチ 中国だけでなく…
「99%ぐらいは全部中国に行くもの。中国の市場というのは、どうしてもなくては困る」
8月、中国が日本の水産物の輸入を停止したことに危機感を募らせていたのは、新潟県佐渡市でナマコの養殖を行う浦島三和の須藤由彦社長だ。
須藤社長のもとには、中国だけでなくシンガポールやマレーシアのバイヤーからも「佐渡のナマコは買えない」と電話があったという。
風評被害の払拭には時間がかかるとみられているが、出荷が止まってもナマコは成長を続けるため、間引きしながら養殖環境の維持に努めていると言う。「大きくなったら順次出荷したり出していかないといけないわけで、それが止まっているので間引きする以外ない」
苦境は続いているが、変化もあった。ナマコをサプリメントや加工品にしたいと国内の企業から取り引きの問い合わせが相次いでいるのだ。
ただ、中国に販売していたときと同じような価格を維持できるのかは不透明な状況だ。
須藤社長は「今までは売り手市場のような状況でいたが、今後は逆に買ってくれとお願いしないといけない。だから値段がどうなるか分からないのが正直なところ」と不安な思いを口にする。
こうした不安の声に対し、行政も対応。11日は佐渡市農林水産振興課の伊藤誠係長が養殖施設を訪れ、価格が下がった分の補償などを国や東京電力に求めていく考えを伝えた。
伊藤係長は「ナマコ種苗を期待している方は大勢いるので、なんとか価格が維持できるように要望をしていきたいと思っている」と話す。
2022年5月に本格稼働したばかりの養殖施設。存続に向けた模索が続く。