田畑荒らすイノシシ 被害額は2億円超
鼻で土を掘りながら暗闇に現れる動物。すると、もう1匹も後ろからついてきた。
9月9日の未明、新潟市秋葉区の畑に現れたのはイノシシだ。
イノシシの出た現場へ行ってみると、畑の近くは荒らされ、地中がむき出しの状態となっていた。
イノシシを撮影したのは、畑を管理する農家の山﨑久雄さん。
「土の中にいるミミズとか虫を食べる。これは堆肥置き場だったけど、2年前は7頭、親を入れて8頭出てきた」
県内では例年、野生鳥獣による農作物の被害が多く発生していて、2022年度の被害額は約2億4000万円に上っている。
山﨑さんは、畑が動物に荒らされたことから3年前にカメラを設置。
映像から動物の行動などを確認し、対策してきたが、「いま、秋葉区はものすごくイノシシがあちこちに出没していて大変な状況」と被害は深刻化していると言う。
さらに、山﨑さんの知人の田んぼは稲が踏み倒される被害に遭っていた。
この現状に、山﨑さんは「イノシシが一晩でやった。今までこんなに踏み倒されたことなかった。今年は1頭じゃないから、広範囲になった」と話す。
設置したカメラにはイノシシが何度も現れる様子が映っていて、9月9日に稲刈りをしたものの、ほとんど収穫はできなかったという。
一方、田んぼに現れるのはイノシシだけではない。暗闇に映っていたのは大きなクマ。
さらに別の日には複数のアライグマに、キツネの親子まで…
かわいらしくも見えるが、その数が増えれば被害につながりかねず、山﨑さんは行政とも連携した対応が必要だと話す。
「このままいけば、他県と同じように『イノシシにかまれた』とか、そういう状況になってくる。そうならないように個体数を減らす。減らすには捕獲・駆除しかない」
県の誇る農産物をどのように守るのか…官民一体となった対策が求められている。