待望のソウル線再開に期待の声
新潟市にある新潟県立大学。学生が大きなカバンから取り出したのは、K-POPアイドルを応援するウチワだ。
彼女たちは、県立大学の韓国サークルのメンバー。「前回、韓国に行ったときは、SEVENTEENのファンミーティングとコンサートに行けなかったので、次はチケッティング(チケットの獲得)に成功してライブに行けたらと思っている」
日頃からK-POPや韓国料理などについて情報交換している韓国サークルには、約30人が所属している。韓国の流行やK-POPの”推し”が会話の共通項で、友人関係も深まっていくという。
韓国に夢中になる理由について、学生のひとりは「東京も新しいものが多いが、ソウルの方が洋服も食べ物も日本にない魅力的なものがある。ソウルの真新しさに惹かれる」と、ソウルへの熱い思いを語る。
この日、取材のため集まってくれた7人は、全員、韓国旅行を経験していた。
2023年の夏休みにソウルに行った武田凛子さんは、旅行の行程について「新潟から成田空港発の便で仁川空港に向かった。夜行バスか新幹線で東京に向かうのに加え、成田空港までも移動するので、時間も料金もかなりかかった」と説明した。
時間と金銭の両面から、新潟とソウルが直行便で結ばれることは彼女たちにとって朗報だ。次に韓国に行くとき、新潟空港を利用するか?と聞くと、全員が手を挙げた。
海外旅行の需要は…? 円安がハードルに
新潟市の旅行会社では、新型コロナウイルスが5類に移行したことで、海外旅行のパンフレットの置き場面積が以前に比べて増えていた。中でも期待を寄せているのが、新潟空港発着のソウル旅行だ。
トップトラベル新潟の大谷光利代表取締役は「新潟空港から海外旅行の行き先として、韓国は非常に人気があった。それがまた戻ってきてくれるのでは…と期待している」と話す。
客からの問い合わせも徐々に増えているが、5類移行後も海外旅行全般の売り上げは、新型コロナ前の5割から6割ほどに留まっている。
その要因として大谷代表が挙げるのは世界的な円安だ。「旅行代金も新型コロナ前に比べ割高になっているし、現地でも食事やお買い物を割高に感じるところは多いのかなと思っている」
県立大学・韓国サークルの学生も、2023年夏の韓国旅行で「日本円からウォンに換金するときに、かなり少なくなって…ちょっと悲しかった」と円安を実感していた。
一方、直行便の再開で韓国から新潟を目指す旅行者は増えるだろうか。韓国サークルのメンバーで、2023年10月現在、韓国に語学留学している鹿田美夕さんにリモートで聞いた。
「韓国の人に『日本でどこに行きたいか』と聞くと『東京・大阪』と言われるので、新潟に来てくれるかは分からない。ただ、何度か日本に行っている人の中には、『地方都市に行ってみたい』と話す人もいる。そういう人が来てくれる可能性はあるのではないか」
2時間半で新潟とソウルを結ぶ定期便。その再開が、5類移行後の旅の需要につながることが期待される。