「新しい情報ない」母・早紀江さんの苦しみ
「怒りというより、くたびれきってしまった…」
1977年11月15日にめぐみさんが新潟市で拉致されてからまもなく46年。11月7日に開かれた会見で母・早紀江さんは、めぐみさんについて何の情報もないことへの苦しみを吐露した。
「めぐみの消息について、政府から新しいことは何もない。だから、しんどい。本当にしんどい。今の状況の写真でも、言葉でも、何か録音でもしてあったら教えてくれないかということをちゃんと交渉してくださっているのかなと思う。何にもできないというのが不思議。人間同士なのになんでかなと思う」
岸田首相が、「日朝首脳会談の実現のため、自身直轄のハイレベル協議を行う」と宣言してから5カ月。その成果は見えていない。
「なんとか政府が本気で動いてくださるように、北朝鮮はそのことによって、日本国民も“我々が思っている以上に怒っている”というくらいの思いを北朝鮮が、金正恩が見ていて、ハッと思うくらいにならないと動かないのではないかと思う」
早紀江さん「元気で会わせてほしい」
かつては、めぐみさんが帰国したら「日本の美しい景色を見せて歩きたい」と話していた早紀江さん。いま、めぐみさんとどのような時間を過ごしたいかを問われると。
「自由がどんなに素晴らしいことで、みんながこうやって何でも話ができるということは素晴らしいこと。そこに帰ってきてくれただけで、あとは何も、こうしたい、ああしたいとは思わない」
何の罪もない13歳の少女が突然、拉致され、北朝鮮で生きることを強いられた46年。87歳となった早紀江さんのマイクを握る手は弱々しく感じられる。
それでも、会見の終盤、早紀江さんはハッキリとした声で訴えた。「元気で会わせてほしいと思っています」