月末の金曜日は午後3時に退社を呼びかける「プレミアムフライデー」だが、新型コロナウイルス後、めっきり聞かなくなった。この取り組みがどうなったのか、その後を取材した。
15時退社を呼びかけるプレミアムフライデー
プレミアムフライデーは2017年に経済産業省が打ち出したもので、働き方改革や消費の拡大、ライフワークバランスの充実を図ることを目的に月末の金曜日は午後3時に退社を呼びかけるという取り組みだ。
取り組みが始まった当初は、全国各地で午後3時に向けてオープンする飲食店や割引サービスをする店などが見られた。
11月24日の金曜日は月末の金曜日なので、プレミアムフライデーとなるが、実は、官民で設立したプレミアムフライデー推進協議会のWebサイトは2023年6月に閉鎖したと言う。
では、一体なぜプレミアムフライデーは浸透しなかったのか…
街の人に話を聞いた。
金融業:
「プレミアムフライデー聞いたことはあるがいまはちょっとわからない。忙しくてなかなか行けない。行きたいけど…」
鉄鋼業:
「全然記憶にもない。普通の金曜日という感じで意識していなかった」
IT業:
「恩恵はない。うち関係ないのでサービス業なので、お客様忙しいので私たちも対応しなければいけない」
“プレ金”浸透しなかった理由
プレミアムフライデーが浸透しなかった理由について、経済に詳しい長岡大学の栗井英大教授は「月末の金曜日は繁忙期なので、忙しい日に早めに退社することは現実的に難しい会社が多かった」と話している。
また、飲食店や小売店などは午後3時に退社できる環境になく、参加企業が限定的だったことも要因に上げている。
では、なぜ月末の金曜に設定したのか。経済産業省に尋ねると、「花金」に合わせようと金曜日に設定。ただ、毎週金曜日というワケにはいかないため、その中で月末に設定したという。
また、浸透しなかったもう一つの理由が新型コロナウイルスによる影響だ。
新型コロナによって多くの企業でリモートワークなど働き方の多様化が進んだことで、「ライフワークバランスの向上という目的が薄れてしまったのでは」と栗井教授は話す。
制度設計にも問題があったと言えそうだが、経済産業省は、プレミアムフライデーの情報は引き続き発信するとしている。