住宅は建築時「液状化は想定していない」
地盤調査などを専門とする新潟市江南区の丸高重量。
「そのエリアで地盤改良をしている・していないに関わらず、家が下がっているというのが現状」こう被災地の現状について話すのは、丸高重量の高橋節夫社長だ。
丸高重量では、家を建てる際の地盤改良などを行っていて、能登半島地震以降、液状化による家の傾き被害などの相談が相次いでいると言う。
家を建てる際には地盤を調査し、家が沈まないようにする必要があるが、高橋社長は「今の国の法律の中では、“液状化対策をしろ”ということは住宅に関してはない。ビルとかだったら液状化対策を考えた設計をしているが、住宅は液状化対策の地盤改良ではないわけだから、液状化しない状態を想定し、住宅が傾かない設計になっている」と指摘する。
家の傾きは体に影響も…
しかし、家が傾いている状態を放置すると体に影響も出る。
丸高重量によると、5mm以上傾いたところにいると、めまいを感じたり、頭痛の症状を訴える人もいるという。
傾いた家を直す方法
では、傾いた家はどのように直したらいいのか。高橋社長は2つの方法があると話す。
「“基礎ごと上げる”という作業と“土台から上げる”という作業。現場のその状況による」
一つは、土に埋まっている基礎の下にジャッキを入れ、基礎ごと水平にしてから固定する方法。
もう一つは、基礎とその上にある土台の間にジャッキを入れ、土台のみを水平にして直す方法だ。
丸高重量の今田達也部長は「古い家だと廊下に隙間が空いてしまったり、家自体にダメージが発生したりする。土台を直してから、それに合わせて建物の不具合も直していくという流れじゃないかなと思う」と話す。
土台・基礎を直せるような仕組みづくりも
一方、地盤の深くまで調査や改良をすることは高額になるうえ難しく、高橋社長は「家が傾いた際にも、すぐに土台や基礎を直せるような家の仕組みづくりを考えていくことも必要」だと指摘する。
「例えば基礎にジャッキを入るための空間をつくっておくとか。傾いた状態だと、雨漏りとかの原因にもなるだろうし、まずはとにかく平らな状況がいいと思う。住宅を直すうえで、大工さんと連携を取って仕事をするというのが基本なので、まずは知り合いの大工さんに声をかけたほうがいいと思う」