「動き出すしかない」液状化・傾き・亀裂… 3週間で被害拡大も被災ホテルが建物の“修復”決断

液状化による大きな被害を受けた新潟市西区。連日、復旧作業が行われている中、建物自体が傾き、営業に支障が出ていたビジネスホテルは能登半島地震から3週間が経ち、修復に向けて動き出すことを決断した。

「どうしたらいいのか…」座り込んだ代表

「どうしよう…このままやめてしまおうか。というところまで思ったが、でもやろうと」

復興への強い思いを口にしたのは新潟市西区にあるホテル寺尾の勝島猛代表だ。

ホテル寺尾 勝島猛 代表

ホテルがある寺尾朝日通は地震発生後、道路に亀裂が入り、泥水が噴き出すなど液状化の被害を受けた。

2024年1月1日地震直後(提供:寺尾朝日通自治会)

その影響で建物が傾いたほか、館内も至るところに歪みや亀裂が生じていた。

ホテル館内の亀裂

2週間前に取材した際、予想以上の被害に勝島代表は「これはどうしよう…ちょっと想像だにできなくなってきた。どうしたらいいですかね…」と座り込んでしまっていた。

地震直後取材時の勝島代表

建て直しには莫大な費用もかかることから、今後への不安を募らせていた勝島代表。

取材から2週間…さらに進む液状化の被害

取材から2週間…

「今までこんな隙間なかったんですよ。でもこう言うふうに手が入るくらいになってきた。ですから液状化がまだ進んでいるんだと思う」

地震発生後にできた台所の壁と洗い場の隙間が徐々に広がってきているという。

隙間が広がってきている

さらに、地震の影響で建物の基礎となる部分の下に本来あるはずのない隙間ができてしまっていた。

建物の基礎の下に本来あるはずのない隙間が

「やろうと決めた。動き出すしかない」

こうした建物被害を受け、ホテル寺尾は傾いた本館と別館の修復を決断。建物を水平に戻すジャッキアップに向けた工事が24日に始まった。

復興に向けた工事開始

勝島代表は「本当の第一歩ですね。ここをやろうと決めるまで随分葛藤したが、でもやろうと決めた。もう動き出すしかないんで」と前を向いた。

覚悟を決め、前に進み始めた勝島代表だが、貯金だけでは工事費用をまかなえないため、行政に適切な支援をお願いしたいと話す。「この辺含めて新潟市全体が大変なので、時間はかかるんだろうなと思っているが、お願いするところはお願いしていきたい」