液状化被害 “過去の地形”が大きく関係
新潟大学災害・復興科学研究所は能登半島地震を受け、主に新潟市内の液状化の被害について現地調査を実施した。その被害の特徴をまとめ、1月29日に報告会が開かれた。
「この白鳥潟、ここが例えば何かというと今の新潟工業高校の所。昔からの土地の利用と今回の液状化被害の集中地域がかなり密接している」
卜部厚志所長は約100年前の新潟市の地図を示しながら、現在の西区周辺は湿地帯や小さな池が多く分布していたとし、過去の地形が被害と大きく関わっていると指摘。
「一番リスク高い」砂丘地帯の裾野
また、西区寺尾地区など砂丘地帯の裾野で被害が広がっていることについては「砂丘の砂は一番動きやすい砂のサイズで、さらに地下水も常に湧いている状態で液状化のしやすさの条件が整っている。一番リスクが高い」と話した。
砂丘の特徴として、丘の上から下に向かって砂が流れ、その裾野で噴き出ることで地面や構造物に亀裂が生じると説明。
一方、西区善久地区や江南区天野地区の場合、信濃川の過去の流路を埋め立てた地域で被害が目立っているとした。
「液状化は繰り返す災害」3回目も…
こうした調査の結果、今回被害が出ている地域は国が60年前の新潟地震の被害なども加味して示す「液状化しやすさマップ」とおおむね一致したという。
「とにかく液状化は繰り返す災害なので、この地域は(新潟地震から)60年を隔てて2回目。3回目もあるということになる」
さらに卜部所長は、今回、比較的被害が少なかった中央区などの地域では「次も大丈夫」とは言い切れないと警鐘を鳴らす。
地盤改良で「液状化に強い街へ」
繰り返される液状化の被害に対し、どのような対策が求められるのか…卜部所長は公的な支援のもと、地域として地盤改良を行う必要性を強調する。
「再建には、地盤の改良にお金がかかるが必要。街区単位でまとまって何らかの策ができないか。新潟は液状化に強い街になるということを我々もやっていきたい」
卜部所長はまた、「地震から4週間が経つ中、被災者が取り残されないよう早期の支援が求められる」とも話した。
一方、気象庁は29日、地震活動は依然として活発な状態で、今後2~3週間程度は最大震度5弱程度以上の地震が発生する恐れがあると発表している。
引き続き、強い揺れや津波に注意が必要だ。