世界遺産登録へ…パリで“佐渡金山”の魅力発信
日本から直行便で約14時間…3月下旬、フランス・パリに花角知事と佐渡市の渡辺竜五市長の姿があった。
歴史ある建造物が立ち並び、美しい町並みが広がる花の都パリ。そんなパリの中心部にあるのが国連教育科学文化機関(=ユネスコ)。
人類が共有すべき「普遍的な価値」を持つ遺産を世界遺産として登録していて、2024年7月に登録の可否を審議する世界遺産委員会がインドで開かれる予定だ。
パリ訪問初日、そのユネスコ本部では、佐渡の伝統芸能「鬼太鼓」が各国の政府関係者を出迎えていた。
行われたのは、日本の地域の魅力を発信する展示会のオープニングイベント。
花角知事は「新潟県は日本列島日本海側のほぼ真ん中に位置する世界有数の雪の多いスノーカントリーだ」と挨拶。
日本のユネスコ関係者が主催したイベントに新潟県は自治体として唯一参加した。
中でも発信に力が入るのは、やはり世界遺産登録へ向け大きなチャンスを迎えた佐渡金山だ。
渡辺市長も「金を掘るために日本中から多くの人が集まってきて、日本の文化が佐渡に集まった」と説明の言葉にも力が入る。
機械化される前の江戸時代から質の高い金銀を世界有数の規模で産出し、幕府の財政を支えた佐渡金山。
世界遺産登録を目指す地域の活動は1990年代に遡る。
一時は先に鉱山遺跡として世界遺産に登録されていた島根県の石見銀山と統合する形で暫定リストに記載する方針が決まったが、島根県側の反発もあり見送りに。
それでも時間をかけながら構成資産を見直し、「金」の生産体制に価値を絞り込むなど関係者が努力を重ねた結果、2015年、国に対し暫定リストの中から本登録に向け、ユネスコに推薦するよう推薦書の原案を提出した。
その後、4年連続で国内のライバル候補に敗れたほか、新型コロナウイルスの影響で審議が先送りされるなど異例の事態も経て、2022年についに世界遺産候補としてユネスコへと推薦された。
その後、推薦書の再提出などを経て、2024年にようやく登録のチャンスが回ってきたのだ。
世界へ新潟の魅力をアピール「手応えあった」
こうした中で計画された県の一行によるパリ訪問。
初日に参加した展示会にはユネスコ日本政府代表部の加納雄大大使も出席し、ともに佐渡金山を含む新潟の魅力をアピールした。
加納大使は「地元の皆様が非常に強い熱意を持って取り組んでおられることは我々も感じているし、敬意も表している。外務省現地の代表部として一緒になって頑張りたい」と話した。
直接魅力を伝えた新潟について、出席したドイツ大使は「素晴らしい。ぜひ行きたい。佐渡島に魅力を感じた」と話し、コロンビアの関係者も「佐渡を知らなかったので、いい機会だった。魅力を感じた」と話した。
こうした反応に対し、花角知事も好感触を得たようだ。「随分多くのユネスコ関係者に集まっていただいた。新潟の魅力発信という意味では手応えがあった」
新潟の存在感を示したパリ訪問初日。しかし、佐渡島の金山の世界遺産登録へ向けてはハードルも残されていた。