24日、新潟市西区の中野小屋地区で行われていたのは稲の種まきです。
家族や仲間で協力しこなしていく作業。指揮を執っていたのは、コメ農家の椎谷郁夫さんです。
【コメ農家 椎谷郁夫さん】
「こうやって少し芽が出ている。これが稲になって、穂になる」
長年コメづくりを続けてきた椎谷さん一家ですが、今年は特別な思いを抱えています。
【コメ農家 椎谷郁夫さん】
「まあ一つ、ホッとしているというのが実感。地震後、今色々やっているこの作業場も災害に遭って」
今年1月の能登半島地震で家屋が倒壊するなどした中野小屋地区。
椎谷さんの自宅も大規模半壊となり、発生翌日には全壊した自宅横の小屋から農機具などを運び出す一家の姿がありました。
【コメ農家 椎谷郁夫さん】
「春の田植えの準備とかする材料がみんなここにあった。それを全部出して、早くもう出そうと言って…」
また、作業場でも柱が折れるなどの被害があり、コメづくりへの影響が懸念されていました。
【椎谷さんの長男 雅之さん】
「難しい。やることもいっぱいだし。今年もちょっと頑張りたいんだけど」
それでも、椎谷さんたちは田植えができるようにと作業場の修理を優先。2月下旬に整備が完了し、種まきにこぎ着けました。
【椎谷さんの長男 雅之さん】
「本当にここまでできれば御の字かな。まだ自宅の小屋を壊してないからね。まあ、前に進むだけ」
一方、自宅は…
【コメ農家 椎谷郁夫さん】
「こっちのほうは、もうきれいになった。廊下のほう」
一部の修理は進んだものの、まだ崩れた壁やゆがみが残っています。また、全壊し解体予定の小屋も作業の開始目処は立っていません。
地区内でも爪痕が残る中…
【コメ農家 椎谷郁夫さん】
Q.地震でやめた農家もいる?
「ああ、やめた。その農家の分、うちが4反もらった。ちょうど隣だったから、つくってくれと」
去年は猛暑により1等米比率が低下するなどし、収入面でも大きな打撃を受けたコメ農家。そこへ地震が追い打ちをかけ、コメづくりをやめる人も出ています。
【コメ農家 椎谷郁夫さん】
「昔からこのコメが生きるための食料であって、これがどんどんやめていく、農家がへっていく、農地がどんどん減っていく。(今後)4~5年くらいで食料がどう変わっていくのか」
苦境に立たされる農家。それでも椎谷さんは家族とともにコメづくりを続けます。
【コメ農家 椎谷郁夫さん】
「新潟県というのは一番おいしい、コメづくりの県だから。一歩でも元の生活に戻るなり、やっぱり収穫が喜び合えるような秋になってほしい」最終更新日:Tue, 16 Apr 2024 18:49:52 +0900