弥彦神社の隠れた絶景 「木の根っこが石を噛んじゃってる」神秘の空間 鬼婆が天女に変わった千年杉の伝説も

静寂に包まれた神域、そして知る人ぞ知る隠れた名所。弥彦神社の魅力は、誰もが知る荘厳な本殿だけではありません。今回は、地元の方でさえ知らないかもしれない弥彦の秘密の場所へ、NSTアナウンサー眞保恵理が、皆さまをご案内します。

まずは、弥彦神社の参拝から始めましょう。「弥彦といえば弥彦神社」と三冨さんは語ります。しかし、その参拝方法には独特の作法があるのをご存知でしょうか。

弥彦神社、知られざる参拝の作法

弥彦神社に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは真っ直ぐに伸びる参道です。「真ん中は神様が通る道」と言われますが、三冨さんによれば「お客様は神様ですから、真ん中を歩いてもいいんですよ」とのこと。意外にも、堂々と中央を歩むことが許されるのです。

参道を進むと、御手洗川(みたらしがわ)の清らかな流れが耳に届きます。「夏でも涼しい」という川の水で手を清めれば、心身ともに清々しい気分になれるでしょう。

そして、お参りの作法も一般的なものとは異なります。「二礼四拍手一礼」という独特の方法で参拝します。

「まずお賽銭を上げさせていただいて、それから二回お辞儀をします。ここで手を四回打って、最後にもう一回お辞儀をして終わりです」と三冨さんは丁寧に教えてくれました。

知られざる摂社末社の魅力

弥彦神社の魅力は本殿だけではありません。実は、境内には「摂社末社」と呼ばれる小さな社がたくさん点在しているのです。

「蛸ケヤキ」という珍しい木がある社もその一つ。「冬になって葉っぱが落ちますとね、タコの足のように見えるんです」と三冨さんは説明します。新潟県指定天然記念物にも指定されている、この不思議な形の木は必見です。

さらに、まるでジブリ映画の世界に迷い込んだかのような場所も。

「ここが一番好きで」と三冨さんが案内してくれたのは、巨大な木々に囲まれた神秘的な空間でした。「木の根っこが石を噛んじゃってるんですよ」という不思議な光景や、鳥のさえずりが響く静寂な雰囲気は、まさに別世界です。

神秘の巨木と伝説:弥彦の婆杉(ばばすぎ)

最後に訪れたのは、樹齢千年以上と言われる「弥彦の婆杉」。

宝光院というお寺の墓地の中にあるこの巨木は、一見しただけでその圧倒的な存在感に息を呑んでしまいます。

「これが知る人ぞ知る弥彦の婆々杉でございます」と三冨さんが紹介してくれました。その姿は、まさに神秘的です。

幹は太く、空に向かってまっすぐに伸びています。「もうね、これ先が見えないですよ」と三冨さんが言うように、その頂は雲をつくほどの高さです。幹の表面はゴツゴツとした樹皮に覆われ、長い年月を物語っています。

婆々杉の周りには、独特の雰囲気が漂っています。墓地の中にあることもあり、静寂が支配的です。時折聞こえる鳥のさえずりが、この場所の神秘性をさらに高めています。

「これまた伝説がありましてね」と三冨さんは語り始めました。その伝説は、単なる樹木伝説を超えた、人間ドラマが込められていました。

「その昔、大工の棟梁の奥さんだった人が、何かのことで街の人たちと言い争いになって自分の言うことが通らなかったんですよね。ただ業を煮やしてですね、鬼の化身になってしまった」と三冨さんは説明します。

その女性は「越後の弥三郎鬼婆(やさぶろうばさ)」と呼ばれ、近所の子供たちをさらっては食べてしまうという恐ろしい存在になったそうです。「新潟県内だけでなく、京都辺りまでみんな飛んで行って悪さをした」と、その悪行は広範囲に及んだようです。

しかし、この物語には続きがあります。「ある時、その非常に位の高い、高僧の方が来まして、それじゃダメだよと言い聞かせたら、そのおばあさんは改心をしまして」と三冨さんは語ります。改心した鬼婆は、今度は子供たちを助け、救う存在へと変わったのです。

さらに驚くべきことに、「その高僧の方から妙多羅天っていう称号をいただきまして、天女になったんです」と三冨さんは伝説の結末を明かしてくれました。

この伝説は、単なる怖い話ではなく、鬼婆となった女性が、高僧の教えにより改心し天女となったという物語として、地元の人々に語り継がれています。婆々杉は、その伝説の舞台であり、象徴として、今もなお人々の心に深く刻まれています。

弥彦神社、そしてその周辺には、まだまだ知られざる魅力が眠っています。次に弥彦を訪れる際は、ぜひこれらの隠れた名所も巡ってみてはいかがでしょうか。きっと、新しい弥彦の魅力に出会えるはずです。

 

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