雪国の恵みと職人の技が織りなす極上の一皿。新潟県津南町で出会った”極厚とんかつ”に、思わず目を見張ってしまいました。その厚さなんと、大人の指2本分! でも、その驚きは始まりに過ぎません。今回は、津南町の隠れた名物と、それを支える地域の食文化に迫ります。
物産館で出会う、雪国の宝物
津南観光物産館に一歩足を踏み入れると、そこには雪国ならではの特産品の数々が並んでいました。
目に飛び込んでくるのは、鮮やかな緑色のアスパラガスや、ユニークな形のニンニク。そして、中でも特に目を引いたのが、鮮やかな色合いの「雪下人参ドレッシング」でした。
「雪下人参ドレッシングは当館のオリジナル商品で、大人気なんです。」と、物産館のスタッフさん。
「酸味が効いていて、とっても美味しいですよ。高知県産宗田節が入っているのもポイントです。」
その言葉に誘われ、早速「雪下人参ドレッシング」を購入。そして、もう一つ気になったのが「プレミアム雪下人参ジュース」。今年収穫された雪下人参で作られた、まさに”プレミアム”な一品です。
「これは今年の雪下人参で作ったジュースなんですよ。本当にプレミアムな味わいですよ。」とスタッフさん。思わず購入の手が伸びてしまいました。
物産館には他にも、新潟限定や津南町限定の飲み物や食べ物が並んでいます。地域の特産品を見ているだけで、津南町の豊かな食文化が伝わってきます。
極厚とんかつ、その衝撃の正体
物産館を後にし、次に向かったのは地元で評判の「とんかつ つまり」。
店内に入ると、「いらっしゃいませ。」と、温かい声で迎えてくれたのは、店主のお父さんでした。注文したのは、もちろん名物の極厚とんかつ定食。しばらくすると、驚くべき光景が目の前に広がりました。
「じゃーん!」
店主が持ってきた皿には、想像を遥かに超える厚さのとんかつが鎮座していました。その厚さ、なんと私の指2本分以上!
「これ、これいいの?これ」と思わず声が出てしまいました。
「このとんかつ、なぜこんなに分厚くしようと思ったんですか?」と尋ねると、意外な答えが返ってきました。
「常連さんが毎回のように『もっと厚いとんかつが食べたい』って言うんで、作り始めたんです。お客さんが求めるものを、喜んでもらうものを出そうよと。」
つまり、このとんかつは常連さんの熱い要望に応えて生まれた逸品だったのです。
「信じられないくらいの柔らかさです。歯がスッと入るのに、すんごく肉肉しくて。後から甘みがやってくるんですよ。」
思わず声に出してしまうほどの美味しさに、店主のお父さんが教えてくれました。
「妻有(つまり)ポークっていうのは、津南町と十日町の養豚農家さんのグループで作っているんです。とにかく豚肉の旨味を全面に出した、素晴らしいお肉なんですよ。」
さらに興味深いのは、その脂身の特徴。
「脂身の融点が指で触れば溶けるくらい低いんです。だから、調理の過程で余分な脂分は落ちていって、残るのは本当に美味しい上質な脂だけなんです。」
なるほど、だからこそあの驚くべき柔らかさと旨味が実現できるんですね。
とんかつの衣も絶妙です。サクサクとした食感で、かつ薄すぎず厚すぎず。肉の旨味を引き立てる、まさに脇役に徹した絶妙な仕上がりです。
「お父さんは、ソース派ですか?それとも塩派ですか?」と尋ねてみました。
「実はね、両端の二切れ、要は脂身の部分は塩で食べるんだ。で、他の部分はソースで。」
なんと、一つのとんかつの中でも部位によって味付けを変えるんです。さすが、とんかつへの愛情と探究心に溢れていますね。
この話を聞いて、私も真似してみることに。確かに、脂身の部分は塩で食べると、肉本来の旨味がより引き立ちます。そして、赤身の部分はソースと相性抜群。酸味のあるソースが、肉の旨味と絶妙なバランスを生み出すんです。
雪下人参の意外な魅力
食事の締めくくりに、先ほど物産館で購入した雪下人参ドレッシングとジュースをいただきました。
まずは、サラダにかけた雪下人参ドレッシング。
「え、これ人参?なんかフルーツくらい甘いんですけど。」
予想を裏切る甘さに驚きつつ、しっかりとした人参の風味も感じられます。柚子の香りも加わって、これは確かに人気商品になるはず。サラダの野菜たちが、このドレッシングによって一段と生き生きとした味わいになります。
続いて、雪下人参ジュース。
「うわ、すごい。めちゃくちゃ濃厚で、もう人参をそのままシャーってすりつぶした感じ。」
甘さ控えめながら、人参の濃厚な味わいが口いっぱいに広がります。これぞまさに、雪国の恵みを凝縮した一杯といえるでしょう。普通の人参ジュースとは一線を画す、深みのある味わいに感動してしまいました。
雪国グルメ、その奥深さに魅了されて
今回の津南町訪問で、改めて雪国グルメの奥深さを実感しました。極厚とんかつに代表される、地域の要望に応える職人の姿勢。雪下人参のように、厳しい自然環境を逆手に取った特産品の開発。そして何より、それらを支える地域の人々の熱意と創意工夫。
津南町の食は、単なる「美味しい」を超えた、地域の歴史と文化の結晶なのです。
「つまり(妻有)、津南は最高です!」
皆さんも、ぜひ一度津南町を訪れ、この雪国グルメの魅力を体感してみてはいかがでしょうか。きっと、新しい発見と感動が待っているはずです。
そして、極厚とんかつに挑戦する際は、ぜひ店主お勧めの食べ方を試してみてください。きっと、新しいとんかつの魅力に出会えるはずです。