高校球児が熱中症の80代女性を救助!冷静な救助の裏には野球で培った判断力や思いやりの気持ちが…警察官からは熱いラブコールも

2024年9月、新潟市東区の歩道で体調を崩した高齢女性を助けたとして、高校2年の男子生徒に感謝状が贈られた。機転の利いた行動に警察からは、未来の警察官候補として熱い視線が送られた。
救助現場で当時を振り返る水澤さん

2024年9月、新潟市東区の歩道で体調を崩した高齢女性を助けたとして、高校2年の男子生徒に感謝状が贈られた。機転の利いた行動に警察からは、未来の警察官候補として熱い視線が送られた。

野球部で甲子園を目指しているという男子生徒は「やらないで後悔するより、やって何もなかった方がいいと思った」と当時を振り返った。冷静な判断の裏には、野球部での活動の成果があったようだ。

■高校球児に警察から感謝状

感謝状贈呈式の様子

新潟東警察署から感謝状が贈られたのは、新潟第一高校2年の水澤海志さんだ。

2024年9月、下校途中に歩道で体調不良の80代女性に声をかけ適切に介抱したとして、警察から感謝状が贈られた。

女性が歩いていた現場

当時、時刻は午後5時過ぎで、気温は30℃。

そんな中、交通量の多い県道をふらふらと足元がおぼつかない様子で女性が歩いていた。真夏日にも関わらず、長袖のジャンパーを羽織り、1人で自転車を押していたという女性。

水澤さんは、意識がもうろうとし、熱中症の症状が見られる女性に「暑くないですか?」「水飲みましたか?」と声をかけた。当時について「最初は声をかけるか迷ったが、やらないで後悔するより、やって何もなかった方がいいと思った」と振り返る。

■パトロール中の女性警察官と遭遇

新潟東警察署 桑原恵巡査部長

今にも倒れそうな女性を支えて介抱していたところ、パトロール中の警察官に遭遇。

水澤さんと遭遇した新潟東警察署の桑原恵巡査部長は「水澤さんが寄り添ってくれていなければ、私たちも見落としていたかもしれない。私も無線で報告して手が足りない中で、水澤さんが女性の頭を支えてくれたり『こっちですよ』と警察官と一緒に救急車に誘導してくれて助かった」と話す。

女性の体を冷やすなど水澤さんの丁寧なサポートもあり、女性は無事病院に運ばれ命に別条はなかった。

新潟東警察署 五十嵐久人署長

この機転の利いた行動に、新潟東警察署の五十嵐久人署長は「あっぱれです。ぜひうちの新潟県警にスカウトじゃないけど、来てもらえたら、今からでもいいような感じ」と未来の警察官候補として熱い視線を送った。

■野球部での活動の成果を生かして

打者としてもチームを引っ張る水澤さん

高校では野球部でキャッチャーとして活躍するとともに、キャプテンも務める水澤さん。

これまで野球でスカウトされた経験はあるというが、今回をきっかけに、警察官からの熱いラブコールも受けることとなった。

新潟第一高校野球部の富樫信浩監督は水澤さんについて「口数こそ多くはないが、プレーでチームを引っ張る中心的存在。キャッチャーとしてチーム全体をよく見て、特にピッチャーへの声かけは冷静で目を見張るものがある」と話す。

野球で培った冷静さや視野の広さが、今回の救助に繋がったのかもしれない。

水澤さんは「自分はチームプレーの競技なので、状況を見て、周りと協力する習慣が今回の救助に繋がったと思う。当時、警察官は本当に素晴らしい迅速な対応で自分も安心した。これをきっかけに警察官も志して視野に入れたいと思う」と話した。

■偶然にも同じ境遇だった2人

水澤さんと桑原巡査部長

また、取材中に桑原巡査部長も高校時代にソフトボール部でキャッチャーとキャプテンを務めていたことが水澤さんに伝えられた。

桑原巡査部長は、水澤さんの言葉に、当時の自分を重ね合わせ「将来の選択肢の一つにしてもらえたら」と背中を押した。

水澤海志さん

水澤さんの海志という名前には「海のように広い視野で、志のある人に育って欲しい」という思いが込められているという。

その願い通り、野球でも私生活でも、人への思いやりを忘れず、夢に向かってひたむきに努力できる人柄が感じられた。水澤さんは4月から3年生。最後の夏の大会で甲子園を掴み取るべく練習に励むという。

「今後も何事も自分から積極的に、少しでもおかしいなと思うことがあったら、見て見ぬふりはせずに自分から声をかけたい」

最終更新日:Sat, 18 Jan 2025 10:00:00 +0900