
4月6日、開花が宣言された新潟県上越市の高田城址公園で、桜の木や枝を守る桜守に密着。その思いに迫りました。
【長谷川珠子アナウンサー】
「まだつぼみも見られますが、ピンク色の花を咲かせ、春の息吹を感じます。一方で、こうして桜を楽しめるウラには、一年を通して桜を守る人がいます」
桜を真剣に観察する板倉美咲さん(29)。
【板倉美咲さん】
「私は桜の保全や管理をしている“桜守”という仕事をしています」
桜守とは、剪定や土壌改良を行い、桜の健康状態を管理する仕事のこと。板倉さんは上越市の職員で、去年8月に桜守になるために福島から移住してきました。
【桜守 板倉美咲さん】
「前職はワインづくりで、ブドウの木を栽培していた。栽培を通して木の良し悪しが分かるようになってきて、その視点で改めてお花見に行ったら『あれ?』と。かなり弱っている木ばかりでいたたまれなくなり、なんとかできないかと桜守を目指した」
原動力は幼い頃から大好きな桜を救いたいという気持ちでした。
【板倉さん】
「我が子のようであり、恋人のよう」
しかし、桜守の担い手は少なく、現在約2000本の桜をたった2人で管理しています。
【板倉さん】
「若い人が来るような職業ではなかったから、新しい一面を切り開いてくれるのではと期待している」
次世代を担う板倉さんの仕事は多岐にわたります。例えば、一つの花芽に花がいくつ付いているかを地道に数える作業。
【板倉さん】
「花数が多いほうが、受精が旺盛で健康状態が良い」
この調査結果をもとに、来年再び美しい花を咲かせるための準備をすでに始めています。
【板倉さん】
「土壌改良の際に使う竹筒を作っている」
保水力のある軽石を詰めた竹筒を木の回りに埋めることで、雨水などの浸透力を高めると言います。
【板倉さん】
「高田城址公園は踏圧などで土が硬い状態。水が浸透しづらかったり、排水しにくかったりするので水を深くまで届ける」
美咲という名前の通り、桜を美しく咲かせることに情熱を注ぐ板倉さん。
【板倉さん】
「高田城址公園が20年後、50年後、100年後を目指して、世代を超えてこの景色を楽しんでほしいと思うので、そのためにできることを全力でやりたい」
桜守が丹精込めて育ててきた高田城址公園の桜はまもなく満開を迎えます。
最終更新日:Mon, 07 Apr 2025 18:45:44 +0900