ふわりと口の中で溶けていく、想像を超える分厚さのアジフライ。王道の醤油とソース、大根おろしと醤油の組み合わせ、梅肉、藻塩、タルタルソース…。あなたはどの食べ方が好みですか? 今、東京を中心に空前の「アジフライブーム」が到来し、新潟にもその波が押し寄せています。専門店や食べ放題店が続々と登場する中、従来の常識を覆す「レア気味アジフライ」に出会いました。
空前のアジフライブーム到来!大衆魚の逆襲
銀色に輝く小ぶりな魚体。江戸時代から続く天ぷらの文化と融合し、日本人に愛されてきたアジフライが、今、新たな注目を集めています。その背景には、意外な事情がありました。
「最近はいわゆる大衆魚と呼ばれるサンマとか鮭とか、あとイカとかですね、取れる量が減ってきてしまっているんです」と大日本水産会の内堀さんは話します。「ただ一方でアジの方は全国的に比較的安定して取れているため、需要は増加傾向にあるのではないかと考えています」
さらに、冷蔵技術や流通技術の発達により、全国どこでも高品質のアジを手に入れられるようになりました。家庭で揚げ物を作る機会が減少する中、アジフライ好きのニーズと飲食店のサービスがマッチし、専門店の増加につながっているのです。
この流れを受け、日本一のアジの水揚げ量を誇る長崎県松浦市は6年前に「アジフライの聖地」を宣言。地域ブランドや観光資源として積極的にPRしています。そして今、その波は新潟にも確実に押し寄せているのです。
驚きの厚さ!新潟で出会った「レア気味アジフライ」
万代シルバーホテル2階にある「さんかくとまる」。ここでは想像を超えたアジフライに出会えます。店内に足を踏み入れると、揚げ物の香ばしい香りが漂います。メニューには「日本海アジフライ定食」と「新潟で水揚げされたレア気味アジフライ定食」の2種類が。
「レアぎみアジフライ定食は、魚屋さんが『今日いいの上がったよ』って時だけ連絡が来る真アジを使った味フライの定食です」と店員さんは説明します。
運良く提供されていた「レアぎみアジフライ」は、一般的なアジフライのイメージを覆す一品。とんかつのように分厚く切り分けられ、お皿に盛られています。さらに特徴的なのは、添えられた薬味の数々。出汁を加えた大根おろしや梅肉など、様々な味わい方を楽しめるのです。
「うん、ふわふわです。こんなの食べたことない」と訪れた客は驚きの声を上げます。「身が結構レア気味になっているので、ホロホロと柔らかく口の中で溶けていく感じ」
アジフライと言えばタルタルソースでガツンと食べるイメージがありますが、ここでは醤油と大根おろしでいただくことで、お刺身感も楽しめる新感覚。梅肉をつければ、揚げ物の脂っこさがさっぱりと変化します。
アジフライにはマイルールがある!親しみやすいアジフライの魅力
「アジフライってなんか目玉焼きとか牛丼と一緒で食べ方にマイルールがあるじゃないですか?」と「さんかくとまる」の本間さんは語ります。「ソースが私はいいとか、絶対タルタルだとか、そのマイルールが作れるメニューが最近人気になりがちだなという体感はあります」

さんかくとまる店主 本間さん
確かに、アジフライの楽しみ方は人それぞれ。タルタルソース派、ソース派、醤油派、レモン派…。さらに「さんかくとまる」のように大根おろしや梅肉など、新たな組み合わせも登場しています。
関東を中心に広がるアジフライ専門店の波は、ランチタイムの1時間だけで10食出るほどの人気ぶり。新潟でもこれから専門店や食べ放題店が増えていくかもしれません。
アジフライブームの背景には、安定した供給量だけでなく、「マイルール」を楽しめる食文化としての魅力があるようです。あなたはどんな食べ方が好みですか? 新潟でも広がりつつあるアジフライの新時代、ぜひ自分だけのマイルールを見つけてみてください。