全国でクマの出没、そして人身被害が相次ぐ中、北海道・東北地方知事会はクマに関する国への緊急提言を取りまとめた。この中で、新潟県の花角知事は過疎高齢化の進む地域での対応の難しさを指摘している。
「人のクマ慣れある」
11月7日に青森県で開かれた北海道・東北地方知事会。この場で議題に上がったのが、出没や人身被害の相次ぐクマへの対応だ。
福島県の内堀雅雄知事は「クマの人慣れもあるが、実は人のクマ慣れもある。あまりにもクマの出没のニュースが多すぎて危機感が薄れる」と話し、山形県の吉村美栄子知事は「クマを見かけても通報しないというときがたくさんある」と全国でクマの出没が過去最多を上回るペースで続いていることで、逆にクマへの危機感が薄れていると各県の知事が警鐘を鳴らしていた。
“果樹の処分” 過疎高齢化地域で対応難しく
さらに、新潟県の花角知事が指摘したのは、過疎高齢化の進む地域での対応の難しさだ。
「過疎化が進む中で、なかなか手入れができていない柿の木や雑木林とかがある。そこに、どう、これから手を入れていけばいいのかというのは本当に悩み」
クマのエサとなるブナが凶作となり、クマの出没や人身被害が相次いだことを受け、県はクマ出没特別警報を発表。
不要となった果樹の処分などを呼びかけているが、人身被害が発生した場所の周辺には、処分されずに柿などが残されたままとなっているケースが多く見られる。

10月31日、クマが5時間にわたり居座った阿賀野市の会社の倉庫の周辺にもミカンや柿の木といった果樹が成っている木が生えていた。
知事会「国も含めて対応しなければ」
こうした状況を受け、知事会ではクマの出没防止対策や緊急銃猟の体制整備などへの財源の確保。そして、所有者の分からない土地にある放置された果樹の伐採を可能にする制度の検討などを盛り込んだ緊急提言を取りまとめた。
青森県の宮下宗一郎知事は「国民・県民に対する急迫不正の侵害であって、これは都道府県だけではなくて、国も含めて対応しなければいけないということは改めて認識を共有できたと思う」とまとめた。
人身被害も相次ぐ中、クマへの対策は待ったなしだ。









