新潟県内の山沿いでは積雪が観測されるなど朝晩の冷え込みが厳しくなってきた。冬が近づく中、雪国で重要となるのが、「冬タイヤ」への交換だ。現在はスタッドレスタイヤが使われているが、約35年前の冬タイヤは“スパイクタイヤ”が主流だった。タイヤの歴史とともに、タイヤ交換の注意点をまとめた。
すべらないスパイクタイヤ
新潟県の山沿いでは降雪が確認されるなど朝晩はぐっと冷え込み、冬のコートやストーブを出した人も多いのではないだろうか。そんな時季、あいさつ代わりに「タイヤ替えた?いつ替える?」などと言葉を交わすのは雪国のドライバーあるあるだ。
冬用タイヤといえば現在はスタッドレスタイヤが主流だが、1991年(平成3年)4月まで冬用タイヤといえば、“スパイクピン”と呼ばれる金属の鋲(スタッド)が打ち込んであるスパイクタイヤが主流だった。
スパイクタイヤはなぜ姿を消した?
スパイクピンと呼ばれる金属の鋲で、凍結した路面をひっかくようにグリップするスパイクタイヤ。
だが、雪や氷がない路面では、スパイクピンでアスファルトが削られ粉塵が発生、深刻な環境問題や健康被害を及ぼしていた。また、交通量の多い場所では、横断歩道や車線のラインが削られ、舗装道路が損耗することにより財政負担が強いられていた。この頃は、道路のライン引き直しや道路補修工事が春の風物詩で、様々な場所で工事が行われていた。
宮城県で1986年(昭和61年)全国に先駆けて「脱スパイクタイヤ」に向け条例が施行され、1991年(平成3年)4月から法律によって全国的にほとんどの地域で禁止された。
スパイクからスタッドレスへ
スパイクタイヤが禁止になる少し前、スパイクピンを抜く道具が販売された。
「ピンさえなければ、まだ使える」と、スパイクタイヤに無数に打たれていたスパイクピンを一本ずつ抜き、スタッドレスタイヤとして使っていたり、そのまま次の冬まで乗りつぶす人もいた。
このスパイクピンを合格祈願のお守りとして販売しているデパートもあった。
タイヤメーカーはスタッドレスタイヤの性能と、スパイクタイヤとの運転の仕方の違いをドライバーに体験してもらおうと、スケートリンクの氷の上で走行体験イベントも開催。
参加していた人は「スタッドレスタイヤは、発進時と停止時にコツが必要だ」と話していた。
日本では1991年(平成3年)のスパイクタイヤ禁止を契機として、スタッドレスタイヤの本格的な普及が始まった。それからのスタッドレスタイヤは、年々進化し続けている。
スタッドレスタイヤの寿命は
①製造年と見た目をチェック
タイヤ交換の時季に「自分のタイヤはまだ使えるのか」と考える人もいるだろう。
ぜひタイヤ交換前に状態をチェックしてみてほしい。
まず最初に、タイヤにヒビや亀裂が入っていない事を確認。ヒビや亀裂があったら破裂の危険があるため、買い替えが必要だ。
次に、一般的にスタッドレスタイヤの寿命は使用状況や保管の状態で変わってくるというが、3~5年と言われている。だが、「いつのタイヤかわからない」という人もいるだろう。実はタイヤの側面には製造年が記載されているのだ。
タイヤにある4桁の数字、最初の2桁は「製造週数」、後の二桁は「製造年数」を表している。
画像のタイヤは【4724】なので、2024年の47週目(11月中旬から下旬ごろ)に製造されたタイヤということがわかる。
未使用のタイヤであれば、製造から3年以内で適正に保管されていれば新品同様の性能を保つと言われている。
②溝をチェック
タイヤの側面についている小さな矢印から垂直の場所にある、プラットホームと呼ばれている部分。これでタイヤの摩耗がわかる。
新品は、プラットホームがタイヤの溝の奥にある。
だが、5年使用したタイヤは、タイヤの溝よりプラットホームのほうががやや低いくらいだ。プラットホームと溝が同じ高さになると、約50%摩耗している状態なのだとか。この状態ではスタッドレスタイヤの性能は期待できない。

このプラットホームと間違いやすいのが、スリップサインだ。
スリップサインは、夏用タイヤとしての使用限界であるタイヤの残りの溝が1.6mmを知らせるものだ。
プラットホームは冬用スタッドレスタイヤにしかついていないが、スリップサインは夏用・冬用どちらのタイヤにもついている。
冬用タイヤの溝の摩耗は「矢印のプラットホーム」で確認だ。
③ゴムのやわらかさ
結局一番大事なのは…ゴムのやわらかさだ。
冬用タイヤはグリップ力を要するため、夏用タイヤよりもゴムがやわらかいのが特徴だ。
しかしゴムは、保管状況や経年で劣化し硬くなってしまう。ゴムが硬くなるとグリップ力は弱まり、スタッドレスタイヤの性能を発揮できなくなる。新品のスタッドレスタイヤと、そうでないスタッドレスタイヤのゴムのやわらかさの違いは、カーショップなどで確かめてみるといいだろう。
2024年は11月18日~19日にかけて、新潟市と十日町市で初雪が降り、2025年も寒気が流れ込み、山沿いではすでに雪が降っている。「まだ大丈夫」などと言っているうちに気付けば一面真っ白、というのも雪国ドライバーあるあるかもしれない。冬用タイヤへの交換は早めに行うことが重要だ。
(新潟ニュースNST編集部)














