2026年2月に開幕するミラノコルティナオリンピックのフィギュアスケート女子日本代表候補に名乗りを挙げている新潟市出身17歳の中井亜美。今季から“シニア”の舞台で戦う中井は、10月に行われたグランプリシリーズで世界女王を抑えて初優勝を果たし、鮮烈なシニアデビューを飾った。そんな中井の強さのワケを取材した。
高校2年生・中井亜美 武器は3回転半のトリプルアクセル
新潟市出身の高校2年生・中井亜美(17)。バンクーバー五輪の銀メダリスト・浅田真央さんに憧れてフィギュアスケートを始めた。
小学生の頃から全国大会で優勝を果たすなど活躍していた中井の夢は「オリンピックで金メダルをとること」。
この夢を叶えるために小学校卒業後、新潟市から千葉県のリンクに拠点を移した。
そんな中井の代名詞は、3回転半のトリプルアクセル。難易度が高く、成功すれば高得点が狙えるジャンプだ。

中井自身も「誰でも跳べるジャンプではないので、勝つために必要なジャンプ」と話す。
ジュニア時代もこのトリプルアクセルを武器に全日本ジュニアや世界ジュニアで表彰台に上る活躍を見せてきた。
シニアの舞台で勝負するため滑りや表現力を強化
ジュニア最終シーズンとなった昨シーズン、「来季からはシニアに上がって、もうミラノのシーズンなので、シニアに上がってすぐちゃんとお姉さんたちと戦えるように、今からちゃんと準備して、代表になれるように頑張りたい」と意気込みを語っていた中井。

シニアの舞台で勝負するため、この1年は得意のジャンプはもちろん、滑りや表現力を強化してきた。
中井を指導する中庭健介コーチは「やっぱりアクセルを跳べば勝てるような甘い世界ではない。とにかくアクセルだけと言われないように、それ以外の部分を特に徹底的に強化した」と話す。
ジャンプ以外にも時間を割くことで、自然と練習量も増えたと中井は話す。
「練習内容は、ジュニアの頃よりもしっかり自分から追い込めるようになって、だいぶ前よりは練習量も増えてきているかなという感じ。1枠の貸し切りの中でショート・フリーどっちもかけたり、今までそんなに追い込んでこなかったところを結構増やしてきた」
シニアデビュー戦で逆転優勝「一歩一歩、階段上っていけたら」
そして迎えた中井のシニアデビュー戦・サマーカップ2025。
昨季のグランプリファイナル銀メダリストの千葉百音や三原舞衣、住吉りをんなどの有力選手も出場する中、ショートプログラムの前日から緊張していたという中井は冒頭のトリプルアクセルで転倒するも、その後は落ち着いた滑りで3位につける。
迎えたフリープログラム。中井は冒頭のトリプルアクセルを成功させると、その後も強化してきた滑りや表現力の高さを見せて見事、逆転優勝を飾った。
大会後、「シニアデビューなので、この時期はすごく大切にしたいなと思っている。挑戦のシーズンになると思うので、もちろん不安だったり緊張がたくさん毎回の試合であると思うが、それを一つずつ乗り越えていって、その先にオリンピックがあると思っているので、まずは一歩一歩、階段を上っていけたらいいなと思っている」と笑顔を見せた。
GPシリーズ・フランス大会で初優勝!ファイナル進出決める
この大会で手応えを感じた中井は10月に行われたグランプリシリーズ・フランス大会で世界ランク1位の坂本花織を抑えて初優勝。
その後のカナダ大会でも銅メダルを獲得し、初めてのグランプリシリーズでファイナル進出を決めた。
シニアの舞台で急成長を見せる中井に中庭コーチは「メンタル面含めて安定しているので、その安定感が支えてくれている結果、いいところで決まったり、踏ん張れたりしているんだと思う。やり続ける、そういうところがとても大事だと思う。そういうものを持っている子だと思う」と活躍の背景を分析する。

地元新潟からもお祝いや激励のメッセージが届いているのも中井にとっての励みになっているという。
「知らない間にめっちゃすごくなってない?みたいな。小学校の子とかみんな言ってくれる。やっぱり前から応援してくれる子たちだったので、すごくうれしかった」
夢のオリンピック出場へ「目の前のことをしっかり」
そして12月は、グランプリシリーズを勝ち抜いた6人が出場するグランプリファイナル、そしてオリンピック代表を決める全日本フィギュアが控えている。

小さいころに描いたオリンピック出場の夢が現実へと変わろうとしているが、中井に気負いはない。
「まだ17歳なのもあって、オリンピックを目指す機会はまだあるので、行けたらラッキーくらいの気持ちで今いる。目の前にあることをしっかりやっていくうちに、結果となっていけばいいなというふうに思っているので、まずは全日本選手権やグランプリファイナルをしっかりこなしていければ、結果は変わってくるかなと思う」
夢の舞台は手の届くところまで迫っている。







