株式会社ダスキンが実施した「2025年末大掃除実施意向調査」によると、全国の20歳以上の男女2,080人のうち、68.7%が年末の大掃除を「実施する」と回答した。しかし、2024年末の実態を見ると、実施意向率69.3%に対して実際の実施率は51.1%に留まっており、計画と実行の間には大きなギャップが存在する。注目すべきは、自力での掃除が難しい「エアコン」へのプロサービス依頼意向が9.7%と最も高く、掃除への意識が専門性を求める方向へ変化している点だ。年末を控えたこの時期、大掃除の実態と人々の意識の変化を探る。
若年層ほど高い大掃除への意欲―60代以上との差は17ポイント
2025年末の大掃除実施意向率は68.7%と、過去2年(2023年末69.1%、2024年末69.3%)とほぼ同水準を維持している。しかし年代別に見ると、興味深い傾向が浮かび上がる。
20代の実施意向率は男女平均で76.4%と全年代で最も高く、年齢を重ねるごとに実施意向率は低下。60代以上では平均59.4%と、20代との間に17ポイントもの差が生じている。男女別では女性の方が実施意向率が高い傾向にあり、家事の中心的役割を担う傾向が依然として続いていることがうかがえる。
若年層の実施意向率が高い背景について、ダスキンの調査では「子育てや仕事に時間が割かれ、日常において満足できる掃除ができていないため、大掃除を機会にキレイにしたい」という傾向があると分析している。一方で、昨年のデータが示す「意向と実施のギャップ」は見過ごせない。2024年末は実施意向率69.3%に対し、実際の実施率は51.1%。つまり、約18ポイント、実に4人に1人以上が「やるつもりだったができなかった」という結果になっている。
調査レポートでは「年末に向けて早めに計画を立てて準備を進めていくことが大切です」と指摘するが、仕事納めや年末年始の準備に追われる中、計画通りに大掃除を実行するのは容易ではないのが実情だ。
12月27・28日に集中する実施予定―年明け実施は2%未満
大掃除の実施予定日を見ると、人々の行動パターンが明確に表れている。最も多いのは12月27日(土)と28日(日)で、それぞれ29.0%と同率でトップ。次いで12月29日(日)が12.6%と続く。年末休暇に入る前半の土日に集中して実施したいという意向が強く読み取れる。
12月に入ってからの週末を見ると、7日(日)が8.5%、14日(日)が9.9%、21日(日)が16.5%と、年末に近づくにつれて実施予定が増加していく。一方で平日の実施予定は全般的に低く、多くても3〜4%台に留まる。
[画像指示:2025年12月のカレンダー形式で実施予定日の割合を示した画像を挿入]
興味深いのは年明け以降の動向だ。2026年1月に入ると実施予定は一気に減少し、全体でも2%未満。元日は0.1%、2日以降はほぼ0%に近い数値となっている。「今年の汚れは今年のうちにキレイにして、新年を迎えたい」という日本人特有の意識が、数字として如実に表れている。
しかし、年末の慌ただしさの中で、果たしてこの予定通りに実施できるのか。前述の「意向と実施のギャップ」を考えると、12月中旬頃から計画的に取り組むことが、実際に大掃除を完遂するための鍵となりそうだ。
「レンジフード・換気扇」が3年連続トップ―エアコンは優先順位低め
大掃除で特に注力したい場所について、「レンジフード・換気扇」が25.1%で3年連続のトップとなった。2位は「キッチン(レンジフード・換気扇は除く)」で15.3%、3位は「リビング・ダイニング(エアコンは除く)」で15.2%と続く。
上位を占めるのは、日常的に使用する水回りや生活空間だ。4位「窓・網戸」(8.7%)、5位「浴室」(10.2%)、6位「トイレ」(9.7%)と、普段から汚れが気になる場所や、日常では掃除しにくい場所が並ぶ。特に「トイレ」は2023年9.8%、2024年11.0%、2025年9.7%と、微増傾向が続いており、水回りの衛生への関心の高さがうかがえる。
[画像指示:最もキレイにしたい場所のランキングを示す棒グラフ画像を挿入]
一方で、優先順位が低いのが「照明器具」(2.8%)、「玄関」(4.8%)、そして「エアコン」(3.6%)だ。エアコンについては8位という結果だが、後述するプロへの依頼意向では全く異なる様相を呈することになる。
レンジフード・換気扇が3年連続でトップに君臨する背景には、油汚れの頑固さと掃除の難しさがある。高所での作業が必要なこと、分解・組み立ての知識が求められること、そして何より油汚れが時間とともに固着し、通常の洗剤では落ちにくくなることが、年末の大掃除で「何としてもキレイにしたい場所」として認識される理由だろう。
プロへの依頼は「エアコン」がトップ―専門性への期待の表れ
大掃除でプロの清掃サービスへの依頼意向を見ると、意外な結果が明らかになった。最も依頼意向が高いのは「エアコン」で9.7%。「最もキレイにしたい場所」では3.6%で8位だったエアコンが、プロへの依頼意向では一転してトップに躍り出た。
2位は「レンジフード・換気扇」で8.9%、3位は「キッチン(レンジフード・換気扇は除く)」で5.0%と続き、以下「トイレ」(4.4%)、「浴室」(4.0%)、「リビング・ダイニング」(3.4%)となっている。
[画像指示:プロの掃除サービスに依頼意向がある場所のランキングを示す棒グラフ画像を挿入]
エアコンがプロへの依頼意向でトップになった理由は明確だ。エアコン内部の掃除は専門的な知識と技術が必要で、素人が行うと故障の原因になりかねない。フィルター掃除は自分でできても、熱交換器やファン、ドレンパンといった内部の清掃は専門業者に任せるのが賢明だ。
プロの清掃サービスに依頼する理由のトップは「自分では掃除できない汚れまでキレイにしてほしいから」で26.1%。2位は「自分では掃除できない場所や物をキレイにしてほしいから」で22.4%となっている。3位「自分で掃除するよりも時間を節約したいから」(21.3%)、4位「自分で掃除するよりもプロに任せた方がキレイになるから」(21.0%)と続く。
注目すべきは、「掃除が苦手だから」は18.7%で6位に留まっている点だ。単に苦手だから依頼するのではなく、「プロならではの専門性」や「自分では到達できない仕上がり」を期待して依頼する傾向が読み取れる。
「目に見えない菌まで」へのこだわり―合理的選択としてのプロ依頼
プロへの依頼意向が高い人と全体との意識比較から、興味深い傾向が見えてくる。
「大掃除では、目に見えない菌・ダニ・汚れまでキレイにしたい」という項目では、全体が73.6%に対し、プロへの依頼を予定している人は79.6%と6ポイント高い。一方で「大掃除が苦手や難しいと感じる物・場所がある」は、全体69.0%に対してプロ依頼予定者は74.4%と、差は5.4ポイントに留まる。
[画像指示:大掃除への意識について「全体」と「プロへ依頼意向」を比較した棒グラフ画像を挿入]
つまり、「苦手だから頼む」というよりも、「より高いレベルの清潔さを求めるから頼む」という姿勢が強いのだ。調査レポートでは「大掃除が苦手だからプロに頼むのではなく、掃除の仕上がりへのこだわりや、自身の時間の節約など合理的な選択が増えている」と分析している。
また「大掃除にかける時間はできるだけ節約したい」は、全体63.8%に対してプロ依頼予定者71.3%と7.5ポイント高い。限られた時間の中で最大限の成果を得るための戦略的選択として、プロへの依頼が位置づけられているといえる。
「エアコンや換気扇のフィルターの大掃除で、電気代の節約に繋げたい」という項目では、全体72.4%、プロ依頼予定者73.8%とほぼ同水準。節約意識は全体的に高く、省エネにつながる大掃除への関心が広く共有されていることが分かる。
あなたの大掃除、計画倒れにしないためには?
年末の大掃除は、単なる年中行事ではなく、住環境を整え、新しい年を気持ちよく迎えるための重要な営みだ。しかし、実施意向と実施率の間には約18ポイントものギャップが存在し、多くの人が「やりたかったができなかった」という結果に終わっている。
12月27・28日に実施予定が集中する現実を踏まえると、早めの計画と準備が欠かせない。自分でできる部分は計画的に進め、専門性が必要な部分はプロに任せるという「選択と集中」の発想も有効だろう。
あなたの家では、今年の大掃除をどのように進めますか? 意向だけで終わらせないために、今から何を準備できるでしょうか?
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参考:ダスキン2025年末 大掃除実施意向調査より
■調査対象 20歳以上の男女
■調査地域 全国
■調査方法 インターネットリサーチ
■調査時期 2025年10月3日(金) ~10月4日(土)
■サンプル数 2,080サンプル






