1日2組限定!贅沢な山菜料理
旧入広瀬村、魚沼市大栃山。77歳の浅井美代子さんが枝から摘んでいたのは…
浅井美代子さん:
これは「コシアブラ」といって、天ぷらにすると最高
山菜のコシアブラやウドの芽を集めたら、薄い衣をまとわせ天ぷらに。
お客さんのテーブルには、ゼンマイをはじめとした山菜料理が贅沢に並ぶ。
浅井美代子さん:
料理の98%くらいが地場産
ほぼ全てが魚沼市入広瀬地区の食材という、その味わいは?
客:
おいしい
ここは浅井さんの自宅を改装した、ランチだけを提供する店。
浅井美代子さん:
予約は2組で終わり
もてなすのは1日2組限定。さらに地域の食以外にも人気の秘密がある。
浅井美代子さん:
悩み事だったり、人生相談が始まったり
体と心に栄養を届ける浅井さんの店、「松風」は2022年5月に開業。
浅井さんは23年ほど前に認知症が始まった夫の母親を介護するため長岡市から移住した。
浅井美代子さん:
介護は完璧にやろうと思ってはダメ。デイサービスやショートステイを利用して、自分の時間をちゃんと持つ
介護の負担がまだ軽い頃に始めたのが「居酒家みよちゃん」だった。
浅井美代子さん:
介護の気分を紛らわすために開いた
しかし、10年前ほどに認知症が進行すると、長男の正人さんに店を譲り介護に専念。その後、浅井さんが74歳のときに義理の母親を看取った。
浅井さんの長男 正人さん:
母は祖母を介護しながら夜遅くまで働いて、すごいなと思っていた
浅井美代子さん:
義母に対して「ああしてあげればよかった」「こうしてあげればよかった」は何もない。自分の中では、できる限り介護を頑張った
介護を終えた浅井さん。入広瀬地区で過ごした23年を振り返り、気付いたことがあった。
浅井美代子さん:
人口が減って、空き地が増えた
「地域に人を呼び込むことで活気につなげたい」、そんな思いから浅井さんが始めたのが地域の食材をふんだんに使ったランチの提供だった。
浅井美代子さん:
地域の外から人が入ってくると、刺激されたり、楽しいことを聞ける
予約がある日にだけ開く「松風」。
魚や肉、調味料以外は地域産が中心だが、その調達方法はというと…
浅井美代子さん:
野菜を持って来てくれるおばあちゃんは90歳。山菜や野菜の提供で後押ししてくれる友達が私の財産
食材で支えてくれる地域の仲間。この日、イチオシのメニューは「ネマガリダケ」。
浅井美代子さん:
「何か珍しいものない?」と聞いたら、届けてくれた
そして、77歳の浅井さんには驚きの顔が…
子どもの頃からダンスが好きだった浅井さんは、地域の人が笑顔で交流する場をつくろうと、健康ダンス教室も主宰している。
浅井美代子さん:
健康なうちは体を動かして、人生楽しく笑顔で
健康ダンス教室の生徒 石田リヨ子さん:
楽しい。本当に美代子さんのおかげ
とっておきのネマガリダケは、ダンス教室に通う石田リヨ子さんが浅井さんのために山から採ってきてくれたもの。
健康ダンス教室の生徒 石田リヨ子さん:
山菜をもらってくれてありがたい
浅井美代子さん:
自分では採りに行けないから、本当にありがたい
身内も浅井さんを後押しする。
8歳の孫・斗夢くんが料理を味見。孫のグーサインで準備は完了!
1日2組限定の理由は…
お客さんが来店すると、まずは囲炉裏でお茶を一服。
浅井美代子さん:
悩み事を話したり、私も経験があるので介護の話をしたり…
(Q.ランチは?)
浅井美代子さん:
まだ、お預け(笑)
ランチの店なのに、会話でなかなか料理に進めないのが1日2組限定の理由だ。
そして、いよいよお待ちかねのランチ。
客:
タケノコの本来の味
客:
本当に最高
浅井美代子さん:
義母の介護で勉強したこともあるし、今もお客様と勉強中。楽しいことも、大変なことも色々聞かせていただいて
義理の母を支えて23年。今は地域の人に支えられ、地域を盛り上げる。
自然も笑顔も味にする人生経験豊富なランチの店だ。