銃による事件相次ぐ 猟銃更新まで“空白の3年”…担い手不足に悩む猟友会「イメージ悪化」懸念

5月に長野県で猟銃による立てこもり事件が発生し、6月には自衛隊員による発砲事件が発生。全国で銃を使った事件が相次いで発生した。新潟県内でも狩猟免許などを持つ人が多い中、銃をとりまく環境と銃を扱う人の思いを取材した。

厳重保管されている“猟銃”

新潟県田上町の住宅街。

HUNTING CREATION 相田英一郎 代表:
これは、散弾銃の水平二連式

散弾銃

ロッカーで厳重に保管されていたのは猟銃。

HUNTING CREATION 相田英一郎 代表:
銃を所持した場合、チェーンをかけて、カギをつけておく。これが一応、決められている

こちらは狩猟などで使う銃の販売店。

代表の相田英一郎さんは自身も狩猟免許を持ち、約50年間銃を扱ってきた。

HUNTING CREATION 相田英一郎 代表:
一般の“事件”に関わりのない方々にも再認識してもらう必要はあると思う。大変、危ない道具

HUNTING CREATION 相田英一郎 代表

5月、長野県で発生した立てこもり事件。31歳の男が猟銃や刃物で警察官など4人を襲ったあと、猟銃を持って約12時間、自宅に立てこもった。

また、6月には岐阜県にある陸上自衛隊の射撃場で18歳の隊員が自動小銃を発砲し、自衛官3人が死傷。

銃を使った事件が相次いで発生している。

銃所持の許可には身辺調査も

新潟県警によると、県内では2022年時点で2110人・4457丁の銃に所持の許可が出されているという。

所持の許可を得るには、1丁ごとに公安委員会の講習や審査を受けなければならない。

6月、三条市では許可を更新する人に向けた講習会が開かれていた。

講習会

講習会参加者:
用途は猟と射撃。50年近い

講習会参加者:
色々、書く資料があって大変

申請には、精神科医の診断書などが必要となるほか、本人だけでなく家族や近隣への身辺調査も行われる。

新潟県警 生活安全企画課 朝妻拓郎 警部:
例えば、最近ひどく落ち込んでいるとか、あるいは怒りっぽいとか。ご高齢の方であれば、ちょっと物忘れがあって認知症かなとか。「銃を持たせておいて大丈夫かな」と少しでも感じるようであれば、すぐに警察に相談していただきたい

猟銃更新まで…“空白の3年”

銃の管理方法にも厳しい決まりがある。

HUNTING CREATION 相田英一郎 代表:
これは先台。左手で持つ部分。これを外すと、銃の発射ができなくなる

先台(左)

銃はすぐに使えないよう分解した上で、弾と別に保管する。

HUNTING CREATION 相田英一郎 代表:
万が一盗難にあったとき、事件・事故にそうそうつながることにはならない

分解した銃

相田さんは、多くの人は規律を守って銃を扱っていると話す一方、更新までの3年間が心境の変化をつかむ空白の期間になっていると指摘する。

HUNTING CREATION 相田英一郎 代表:
許認可を受けたときと、その半年後・1年後、生活環境そのものが全く同じであるかどうかということが一つの要因になるかと思う。全く変わらない生活環境で、こういう事件が起きるなんてことは、まず考えられない。本人・周囲が早く関係機関に相談するとかがあれば、もっとこういう事件・事故は防げるのでは

イメージ悪化を懸念…担い手不足の猟友会

6月、長岡市の山で動物の足跡を確認していたのは、新潟県猟友会・長岡支部長の竹内堅さん。

長岡市からの依頼でイノシシやニホンジカの駆除をするため、仕掛けたわなの見回りをしていた。

動物の足跡

安全のため、わなに動物がかかったときなど、必要なとき以外は猟銃を持ち出さない。

新潟県猟友会 長岡支部長 竹内堅さん:
ああいう事件が起きるというのは、非常に嫌な気分

竹内さんが心配していたのは、事件による猟銃を持つことへのイメージの悪化。

各自治体では近年、有害鳥獣を駆除する担い手の確保を強化していて、県内で狩猟免許を持つ人は2021年で3231人と増加傾向に。

ただ、増えているのは“わな猟”などの免許で、銃を使った猟の免許を持つ人が増えているわけではない。

わな

有害鳥獣の被害が後を絶たないなか、猟師の高齢化など課題は山積み。竹内さんも御年76歳だ。

新潟県猟友会 長岡支部長 竹内堅さん:
ほぼ、毎日見回っている

(Q.市民のためにという気持ち?)
そうですね。そんなに大げさなあれではないんだけれども。そういうのも一つの重要な任務になるのでは

新潟県猟友会 長岡支部長 竹内堅さん:
こういう事件というのは、非常に残念だという気持ちはあるが、だからといって銃を携えて捕獲をやめようかというところまではいかない。それぞれの自覚。個人、個人の。それが一番ではないか

銃を扱う人も、その周りの人も、銃の重みを改めて理解することが求められている。