深刻な運転士不足で“減便”に“運賃値上げ”… 運転士確保へバスの運転体験会

地方で問題となっているバスの運転士不足。これにより、路線バスの減便や運賃の値上げが避けられない状況になっている。運転士不足解消の突破口を開こうと、新潟市で7月4日、大型バスの運転体験会が開かれた。

大型免許ない人もバスの運転に挑戦!

新潟市北区で開かれた大型バスの運転体験会は、新潟県内で路線バスなどを運行する新潟交通がバスへの理解を広めようと開いたもので、7月4日は20代から70代までの男女9人が参加した。

この体験会の特徴は、免許がなくてもバスを運転できることだ。

公道ではなく駐車場を使用するため、大型免許がない人も体験可能で、参加者は駐車場内の周回コースを走ったり、バックでの駐車に挑戦した。

しかし、バスの運転はなかなかうまくはいかない。

指導官:
ハンドルを切ってください、切ってください

全長約11m、幅2.5mのバスは、ハンドルを切るタイミングも難しい。早すぎても、遅すぎてもうまく曲がれない。

指導官も声をかけながら苦戦する参加者を励ましていた。

女性参加者:
できて嬉しかった。女性でもできるなというのは自分自身、運転して思った

男性アナウンサーの体験談

男性アナウンサーもバックでの駐車を体験した。

飛田厚史アナウンサー:
曲がります。ハンドルが大きいから大変です

そもそも、ハンドルが大きい。決して長くない腕を伸ばし、上半身全体を使いながら何とか回す。一回転させるのも一苦労だ。

飛田厚史アナウンサー

さらに、普通乗用車に比べて周囲が確認しにくい。ミラーを頼りに車庫に見立てたコースに侵入するが、どこまで下がればいいのか分からない。

車体の間隔もつかめていないが、最後は指導官の声を頼りに何とか無事停車した。

飛田厚史アナウンサー:
ドキドキした。なかなかできない経験ができました

楽しむ参加者… 突然エンスト!?

また、こんな参加者も…

参加者:
めっちゃワクワクしている

順調に走る車好きの参加者はマニュアル車に挑戦。山道に見立てた、くねくねとしたコースを軽快にすり抜ける。しかし、ゴールと思ったその時、急なブレーキとともにバスが停車した。クラッチを切り忘れエンストしてしまったのだ。

だが、こうした経験も車好きにはたまらないものだったようだ。

参加者:
面白いので、もともと興味があったのもあるが、ちょっと考えてみようかなと思った

路線の維持へ 運転士確保は急務!

新潟交通が期待するのは運転士の確保。

運転士不足などを理由に、新潟交通は2023年4月のダイヤ改正で減便を実施し、9月には運賃値上げの方針で運転士の確保は急務となっている。

新潟交通 経営管理室 新井田謙 係長:
意外と自分でもバスの運転ができるんだということを感じていただいて、ひいては業界全体が抱えるバスの運転士不足が解消するきっかけになればと思っている

新潟交通 経営管理室 新井田謙 係長

新潟交通の路線バスを利用する参加者からは、こんな声も聞かれた。

参加者:
新潟市西区にある職場に向かう便が特に減少し、ほとんどなくなった。なんとか運転士を確保して、郊外線を維持してほしい

新潟交通の運転士は2023年4月の段階で404人と、1年前を18人下回った。定年などでの退職も相次いだことが原因だ。

新潟市議会でも公共交通の特別委員会が開かれ、バスの整備に向けて本格的な議論が始まるなど、街づくりの重要な課題の一つとなっている。

実際、あとどのぐらいの運転士が必要なのだろうか、担当者に聞いてみると…

新潟交通 経営管理室 新井田謙 係長:
現状は15人ほど運転士が足りない状態。確保に向けて採用を強化したい

2023年度に入り、すでに4人を採用しているが、それでもまだまだ足りていないのが現状だ。

新潟交通では大型2種免許の取得費用の内、最大30万円を補助するなどして、運転士の確保に力を入れていく方針だ。