【専門家が警鐘】「今年はヤバい」ブナの実“凶作”でクマ出没増の恐れ「大声・走って逃げるは絶対NG」

7月18日、新潟県湯沢町で男性がクマに襲われケガをする被害があった。各地でクマの出没が相次いでいるが、専門家は2023年、これからの時期はさらなる警戒が必要だと警鐘を鳴らす。

今年は人里に下りてくるクマ増?

7月18日、湯沢町で散歩をしていた70代男性が藪の中にいた体長1mほどのクマに襲われ、腕をひっかかれる軽いケガをした。

湯沢町

新潟県内でクマによるケガ人が出たのは2023年初めてで、県は「クマ出没警戒注意報」を発表した。春先から相次ぐクマの出没だが、専門家によると、これから先の季節はさらなる警戒が必要だという。

 

そこで取材班が向かったのは、長岡市越路地区に広がる林。野生動物の生態について調査する長岡技術科学大学の学生の案内のもと、安全を確認しながら進んでいくと…

長岡市越路地区

長岡技術科学大学4年 鈴木凌斗さん

生えていたのは、その実がクマの餌となるブナ。しかし、そのブナの木に花が全くついていなかった。

ブナ

この時期、ブナは花が終わり、秋に向け次第に実になっていくというが、実がなる様子は見られず…

豊作時との比較 2023年の状況(右)

2023年の秋は、3年ぶりにブナの実が「大凶作」の予想となっているのだ。

クマの生態に詳しい長岡技術科学大学の山本麻希准教授は「クマは餌を食べて冬眠するが、秋にたくさんブナが食べられないので、人里近くのクリとかクルミとかを食べに来てしまうんじゃないかなと。今年はヤバいと思う」と警鐘を鳴らす。

長岡技術科学大学 山本麻希 准教授

また、「これからブナの代わりとなる餌を求めて、人里に下りてくるクマがさらに増える」と指摘。

そのため、山に近づく場合はクマに遭遇しないよう、「クマ鈴」など音の出るものを携帯することが重要だ。

また、クマとの接触事故は、クマが人間に気づかずにバッタリ出会うことが多いため、音を出して、少なくとも「あそこに人間がいる」と分かれば、ほとんどのクマは来ないと山本准教授は話す。

それでも万が一、クマに遭遇してしまった場合、どのように身を守ればいいのだろうか?

大声を出したり、走って逃げたりするのは絶対NGだ。

山本准教授は次のように注意を呼びかけた。
「クマを刺激すると、自分がやられるんじゃないかと思って人間を襲うので、できれば興奮させない。最低限、目や顔・内臓・後頭部、これは一撃で死んでしまう場所だが、そこだけでも守るようなことをすれば命が助かる。頭の隅に置いておいていただけたら」

目や顔・内臓・後頭部を守る

クマの出没が増えることが予想される2023年の秋。身を守るための備えが求められる。