ビッグモーター不正問題 新潟でも
「僕らも疑問を持っていたところだったので、そりゃそうなるだろうと、いずれ出てくる話かなとは感じていた」
一連の問題についてこう語るのは、新潟市南区のビッグモーター新潟南店に勤務していた元従業員の男性だ。
ビッグモーターをめぐっては、修理車にわざと傷をつけ、自動車保険の保険金を不正に請求していたことが判明。男性が勤務していた新潟南店でも少なくとも35件の不正が疑われるとして、国土交通省が検査している。
また、各地で店の前の歩道の街路樹が枯れた問題では複数の店舗で除草剤をまいていたことを認めている。
前副社長の気分次第で“降格”
こうした問題の背景として指摘されているのが前副社長の存在だ。
元従業員の男性は「いわゆる環境整備、“ロイヤルファミリー”という幹部と副社長が来るタイミングだが、2日~3日前くらいから店の掃除とか整理整頓をひたすら重視してやる。朝の4時くらいまでいたときもあった」と話す。
前副社長が店舗の清掃状況などを点検する月に一度の環境整備は入念な準備をして迎えていたと言うが、「ゴミ一つ落ちていることで激怒されたときもあれば、機嫌というか気分次第でその場で降格という話も目の前で見たこともあった」とその実態を語る。
実際にその当日に流れてきたという人事異動の発表の紙。当時の店長は「職位基準を割ったのでその任を解きます」として、翌日付で市外の店舗への異動が命じられた。
上の指示は絶対という雰囲気の中、問題は他にもあったと男性は明かす。
不適切なローン手続き 客の情報“書き換え”も
車の購入を検討する客に対し、ローンの案内をする際のことだ。
「ローンというと、審査をして審査の承認が下りたら、正式な本申し込みをして契約に移りましょうというのが本来の流れになるが、仮審査という客の認識のところを、もう本申し込みをして契約まで行ってしまう。ローンをキャンセルして車もキャンセルするのであれば、そのキャンセル料はご請求になりますよと。会社ぐるみで悪い言い方をすれば詐欺まがい」
さらにローン審査を通すために、「審査の時に収入を上乗せして通した」と客の情報を書き換え、申請した事例も聞いたと言う。
男性はおかしいと思いながらも、「数字、ローンをとれ」という指示があったと話す。ローン手続きの不正の疑いについて、ビッグモーター側は「個別の事案につきましては、回答を控えさせていただきます。具体的な情報を把握した事案につきましては、適切に、確認、対応を進めて参ります」とコメントしている。
精神的な苦痛などで退職を決めたという男性は取材に対し、最後にこう口にした。
「正直言うと、まだ出てくると思う」