陸上男子100m 新潟県高校記録を更新!
7月18日。インターハイを目前に控え、練習していたのは、陸上男子100m界期待の三条高校3年・鶴巻陽太選手だ。
2023年は左太もも裏の張りを抱えながら試合に臨んでいると話す鶴巻選手。万全な状態ではなかったものの、2023年5月の県高校総体・準決勝で鶴巻選手はスタートから飛び出し、スムーズに加速。ラスト10mほどで緩めたにも関わらず、10秒36をマーク。
東京学館新潟で2022年、インターハイ王者に輝いた関口裕太選手(現早稲田大学1年)が持つ県高校記録を0秒01更新した。
このレースについて、鶴巻選手は「準決勝の組がレベルの高い組で『ここは本気を出さないといけないな』と思って気合いが入っていた」と分析する。
普段の練習は「手を抜かず全力で」
公立の進学校に通う鶴巻選手。約2時間と限られた練習時間の中で、効率的に練習メニューに取り組んでいる。
陸上部の佐藤友キャプテンは「メリハリもついていて、練習をしているときも雰囲気づくりをしっかりしている。つらい練習のときも手を抜かずに全力でやっている」と鶴巻選手について話す。
そんな鶴巻選手の爆発力の源が自転車を漕ぐ練習だ。軽いペダルを全力で20秒漕ぎ、40秒休憩を1セットとして3セット。
練習の最後に全力を出し切り、鶴巻選手も思わず「キツい」とへとへとになるほどだ。
そんな鶴巻選手には意外な経歴がある。実は鶴巻選手、中学時代に所属していたのは、なんと卓球部。
その理由について聞くと、鶴巻選手が通っていた中学校には卓球部・野球部・吹奏楽部しかなく、チームスポーツでは他の部員に迷惑をかけてしまうと思ったため卓球部を選んだと話す。
それでも、陸上への思いを捨てなかった鶴巻選手は部活後に、一人で陸上の自主練習を重ねた。
土日には小学校時代に所属していたクラブに通い、さらなる高みを目指し、活動を続けたと言う。そして、中学3年生の時に全中への出場権を獲得した。しかし、新型コロナの影響で出場することは叶わなかった。当時について、鶴巻選手は「全国大会で戦えなかったので、ちょっとやりきれない感があった」と振り返る。
日本を代表する選手へ… 夢は「五輪」
その悔しい思いを胸に進学した三条高校で2022年、インターハイ100mに出場。2年生ながら6位に入賞した。
そして、最後のインターハイ…「タイムは自分の10秒36を塗り替えて10秒2台でフィニッシュしたい」と優勝を目指した鶴巻選手。しかし、結果は準決勝敗退。日本一の目標は叶わなかった。それでも、鶴巻選手はその先を見据えている。
「将来は日本を代表する陸上選手になりたい。世界陸上とかオリンピックとか大人になったら出たい」その大きな夢に向かって、鶴巻選手は走り続ける。