“水不足”で貯水率0%のダムも…川底が見えるほどの渇水 水温上昇で死んでしまう魚も

記録的な猛暑が続く新潟では、五泉市の早出川ダムで貯水率が0%となるなど、渇水が深刻化している。妙高市では、生活用水を確保するため、消雪用の井戸水からの緊急取水を始めた。水不足により、川魚などの生態系への影響も懸念されている

貯水率0%のダム 発電は一時中止に

猛暑が続き、雨が降らないことで新潟県五泉市の早出川ダムは水位が下がり、茶色く濁っていた。

早出川ダム

早出川ダム

早出川ダム周辺では梅雨明け以降、雨が降ったのは8月7日のみ。この日も一時的に降っただけでダムに水はたまらず、15日からついに貯水率は0%になった。

こうした状況に、ダムを管理している県 新津地域整備部ダム管理課の横山弘幸課長は「1994年以来の渇水ということで、ここまでになるのはかなり珍しい」と話す。

早出川ダムは洪水調節や発電などを目的に管理されているが、水量が足りないため、8月2日から発電は一時中止に。

水量を調節しながら放水

水量を調節しながら放水

一部の水田にも水を供給していることから現在も水量を調節しながら放水しているが、ダムから阿賀野川へとつながる早出川では水量が少なく、川底が見えてしまっていた。

早出川

早出川

それでも水が足りず、水田の一部では稲が枯れるなどの影響が出ている。

横山課長は「もう雨すぐにでも降ってもらいたい。いつも天気の気象庁の画面をずっと見ている状況」と話していた。

梅雨明け以降、まとまった雨が降っていないのは妙高市も。

矢代川では川底が見えるほどの渇水が続いていて、市は新井地区の約9000世帯に節水を呼びかける事態となっている。

矢代川

矢代川

「節水して努力はするが、何せ夏なので水も必要だから。早く雨が降ってほしい」と住民は嘆く。

呼びかけにより、対象地域の水道の使用量は約5%減少したが、浄水場への取水量は通常から半分以上減っている。

妙高市上下水道局の松木博文局長は「今後も高温と雨が少ない状況が続くと思われるので、これから川から取水できなくなると対応が難しくなる」と話す。

消雪用の井戸から緊急取水

消雪用の井戸から緊急取水

そして、市は8月22日から緊急取水を開始したが、引き続き節水を呼びかけている。

川に水が少なくなることで懸念されているのが、生態系への影響だ。サケの遡上でも知られ、人気のアユ釣りスポットが点在する村上市の三面川。

三面川

三面川

22日も県内・県外から多くの人がアユ釣りに訪れていたが、「朝から来て2匹しか釣れない」「普段だと10匹や20匹くらい釣れるが、全然釣れない」「小さい魚は多いが、大きい魚は深場に入って出てこない。水が多いと出てくるが」と残念そうに話す。

三面川も河川の水量が減少。また、地元の漁協などによると、例年この時期の水温は20度前後だが、今年は水温が25度を超え、アユにとっては厳しい環境になっていると言う。

管理者は「高い水温だとぬるま湯みたいになって、水中の酸素が少ないので、動きが悪くなっている」と話す。中には水温が高すぎて死んでしまうアユもいると言う。

記録的な猛暑が続く新潟。各地で「恵みの雨」を待っている。