中国に依存 養殖ナマコの行き先は…
「佐渡のナマコは肉厚なので中国で人気がある」
こう話すのは、新潟県佐渡市でナマコの養殖を行う浦島三和の須藤由彦社長だ。
処理水の海洋放出を受け、中国が日本の水産物の輸入を停止したことに危機感を募らせていた。「99%ぐらいは全部中国に行く。中国の市場というのは、どうしてもなくては困る市場」
中国の企業と協力し、2022年5月に本格稼働させたばかりのナマコの養殖施設。中国の輸入停止措置で現在養殖している約2億匹のナマコが行き先を失いかねない事態となっている。
須藤社長も「ナマコだけはどうしても中国に依存するしかない」と話す。
中国では高級食も…国内消費は限定的
中国では「海の黒いダイヤ」とも呼ばれ、高級食として扱われるナマコ。ホタテなどとは異なり、国内での消費は限られているため、中国への輸出が頼みの綱となっているのだ。
7月も中国を訪れていたという須藤社長。期待も込めて「輸入停止は長引かない」と話しながらも、すでに施設では他国との関係に影響されない国内での消費を目的としたアワビの養殖を始めていた。
ただ、中国の需要拡大を見越してナマコの養殖施設の増設も行っていたため、願うは早期の輸出再開だ。
「政治的にうまく解決できるように、中国もいいものというのは分かっている、安全なものというのは分かっているので、一刻も早く流通ができるようになってもらいたいと思う」