今夏日本一の暑さ記録した新潟 “異常な夏”をプレーバック 祭りや帰省楽しむ一方で農家は猛暑に苦しむ

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に引き下げられてから初めて迎えた夏。制限も少なくなり、日常を取り戻す一方で、8月の平均気温が全国一となるなど、異常な暑さに苦しめられた“新潟の夏”を振り返る。

戻ってきた新潟の夏「久々に楽しめる」

多くの小学校で夏休み前、最後の登校日となった7月21日。新潟地方気象台が平年より2日早い梅雨明けを発表し、本格的な夏がスタートした。

翌日から夏休み

2023年の夏の大きな変化は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に引き下げられていたこと。多くのイベントで様々な制限が撤廃された。

長岡まつり大花火大会も飲食や飲酒の制限を撤廃。

長岡まつり大花火大会

4年ぶりの通常開催に、訪れたサラリーマンは「社内でも自粛でこういった集まりができなかったが、天気も良い中で飲めて、久しぶりに楽しめる」と笑顔を見せていた。

多くの人が集い、語らい、思い出を共有する本来の姿が戻り、マスクのない笑顔が各地で咲き誇った。

2022年は開催1週間前に感染拡大の影響で中止が発表された新潟まつりの大民謡流し。

新潟まつり

参加者は「やっぱり、みんなと会うと楽しい。街も喜んでいるのでは」「久しぶりなので、すごく楽しい。新潟まつりは、絶対自分たちの誇りだと思う」と笑いながら話していた。

かつては当たり前だった光景。一度失ったことで改めてその価値に気づくことができたのかもしれない。

帰省客は「新型コロナ禍では東京にいたので、故郷の新潟に帰ってこられて花火が見られて幸せ」と話した。

新型コロナの5類移行で活発になった人の移動。お盆期間中に県内で新幹線や特急を利用した人は2022年の約1.5倍に増加した。

再会した祖父と孫

再会を喜ぶ祖父と孫の姿も見られた。孫は「やっと新型コロナも明けたので、ゆっくり遊びたい」と嬉しそうに話していた。

連日の猛暑… 死んでしまう乳牛も

そんな制限のない久しぶりの夏を楽しもうとする人たちを苦しめたのが“異常な暑さ”だ。

かき氷シャンプーで頭を冷やしたり…イルカのジャンプで水しぶきを浴びたり…遊園地の極寒アトラクションで涼を求めたりと、様々な形で暑さをしのごうと頑張るが…新潟市中央区や上越市高田で猛暑日となった日数が過去最高を更新。8月の平均気温は全国1位を記録した。

一方で、酪農家などが集まり、低迷する県産牛乳の消費を何とか拡大させようと緊急集会を開く中、猛暑の影響が肝心の乳牛を襲う。

乳牛を育てる北陸酪農業協同組合連合会の藤田毅さんは「段々この暑さが続くに従ってどんどん乳量が落ちてきている。うちの場合、3割くらい減になっている」と連日の猛暑を嘆いた。

乳量が落ち込むだけでなく、県内ではこの暑さの影響で死んでしまう乳牛も出ている。

暑さ・水不足に農家「絶体絶命」 貯水率0%のダムも

さらに、早出川ダムなどで貯水率が0%になるなど水不足も深刻化。

早出川ダム(五泉市)

コメ農家からは「ピンチというか絶体絶命じゃないか」との言葉も漏れるほど、猛暑と水不足は農作物を直撃した。

川の水位が低下し、海水が逆流。塩害も発生する事態となっている。

塩害を受けた稲

そして迎えた秋、最高気温が連日30℃を超え、厳しい残暑が続く。

猛暑・水不足の影響により、コメの一等米比率は低下。心配していたことが結果となって表れ始めている。

花角知事は「農作物については収穫してみないと分からないところがあるので、被害の全容は明らかになっていないが、県として適切な対応、必要な対策を検討していきたい」と話した。

日常を取り戻す一方、異常な暑さに苦しめられた夏が終わり、訪れた秋はどんな表情を私たちに見せるのだろうか。