返済本格化 不安感じる企業も…
新潟市中央区の居酒屋「山姥」。開店準備を進める中で店主の頭の片隅にあったのは、新型コロナウイルスの融資の返済についてだ。
新型コロナウイルスの感染拡大で経営の悪化する企業を支援しようと設けられた実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」。県内では、この制度で約2万8000件の融資が行われた。
県信用保証協会によると、多くの企業では今年6月から8月にかけて返済が始まり、現在本格化しているが、県信用保証協会の保証推進部・栗山充部長は「物価のほうも急激に上がっているので、新型コロナ前とは環境が変わってきている」と話す。
企業によっては、通常の融資に加えての返済となるほか、物価高の影響もあり、民間の信用調査会社の調べでは、借り入れ企業の20%が今後の返済に不安を感じているという。
こうした中、企業を支援する動きも出ている。
県弁護士会は9月11日に「ゼロゼロ融資返済対応ホットライン」を開設。返済や資金繰りに課題を抱える中小企業などからの相談を電話で受け付け、担当弁護士との面談で事業の再生や承継などの方針を検討する。
若槻良宏弁護士は「税金や社会保険もいったん猶予されていたが、その期間も終わって資金繰りに不安があるような場合には、気軽にご相談をいただきたい」と話す。
物価高など負担増加を懸念
居酒屋「山姥」でも8月から融資の返済が始まっていて、約1000万円を7年かけて返す計画だ。
当初は借り換えや返済を遅らせることも検討したが、店主の石川寛准さんは「1年先延ばしにして、またその中で何かあったらという不安もやっぱりあるので、当初の予定通りに返済をスタートするということにした」と話す。
一方、石川さんは今後さらなる物価高などによる負担の増加を懸念する。
「仕入れ原価の値上げも著しくあるので、そういったところの負担とか、10月から最低賃金の引き上げ等もあるので、固定費の部分で何か削減できる部分とか、そういったところは常日頃考えながら取り組んでいかなければというふうには考えている」
円安や物価高が進み、新型コロナウイルス禍前とは大きく経営環境が異なる中、ゼロゼロ融資の返済による倒産を防ぐためにも、きめ細かな支援が求められる。