“保護ネコ”のために…カフェを開設した旅館の女将の思い「捨てネコが多いことを知って…」

捨てられたネコを保護し、新潟市西蒲区にカフェを開設した旅館の女将。「捨てネコが多いことを知って欲しい」と話す女将の思いに迫った。

カフェの敷地内に19匹の“保護ネコ”

夏が過ぎて人影が少なくなった新潟市西蒲区の田ノ浦海岸。国道沿いの建物では何やら人が床下をのぞいている。

さらには駐車中の車の下をのぞき込む人も。

そこにはネコの姿が!

車の下にネコが!

大人も子どもも、ネコに会いたくて物陰をのぞいているようだ。

ここは2023年5月にオープンした、敷地内でネコと触れ合えるカフェ。

訪れた人は「来る人みんなが、ネコが好きで悪意がない」「ネコはみんなから可愛がられている感じがしていい」と話す。

そんな訪れる人を優しい気持ちにしてくれるネコたちには、悲しい過去があった。

「駐車場に捨てられたネコが繁殖した」

捨てネコや野良ネコ19匹を、地域に暮らすネコとして保護し始めたのは、近くの旅館で女将をしている河合千晶さんだ。しかし、動物の保護には愛情だけでは解決できない問題がある。

海華亭かわい 女将 河合千晶 さん

ネコの命を守るのに必要なのは、エサの準備だけではない。

海華亭かわい 女将 河合千晶 さん:
エサ代だけなら、いくらもかからない。病院に連れていったり、色々とお金がかかる

保護施設の確保や衛生管理、さらには数を増やさないよう去勢手術などを施し、病気になれば動物病院や薬にもお金が必要になる。

親心か母心か?
そんな気持ちで、河合さんは少しでもネコにとって居心地のいいところを作りたいと思っている。

保護する19匹のネコだけでも、ネコらしく命を全うさせたい。そんな思いから2023年5月に始めたのが、かつて民宿だった建物をカフェに改修して、収益を保護費用にする取り組みだ。

カフェでは食を提供するため、室内にはネコを入れない。外でネコと触れ合うのは無料だ。

開店前の厨房でエビの下ごしらえをしていたのは、女将の夫・河合敬一さん。

女将の夫・河合敬一さん:
保護しなければ殺処分されてしまうから

女将の夫・河合敬一 さん

敷地の中で気ままに過ごすネコ。カフェの開店は午前11時だが、ネコとの触れ合いにお金は必要なく自由で、お気に入りを探すのも楽しみの一つだ。

ネコ好きが集まる空間だからこそ、知らない人同士でも話しが弾む。休日のカフェは満席になることもあると言う。

名物女将カレー

人気は女将さんの夫・敬一さんが下ごしらえしていたエビをたっぷり使った「名物女将カレー」。

日替わり定食にはプレートと

日替わり定食には、サザエとイカのお造りがついて、何と880円だ。料理がサービス満点な優しい理由について、女将は「みなさんの協力のお陰で収益があるので、料理をサービスしている」と話す。

その女将のサービス精神に夫・敬一さんからは「損得を考えない」と嘆き節も…それでも「保護ネコには幸せになってほしい」と話す。

「少しでも足しに…」多くの人が活動に賛同

訪れた人も「エサ代も高いし、少しでもエサ代の足しになれば」「これくらいで貢献できるのであれば毎日でも」「私たちは食べなければ生きていけないし、ネコもそうだし、すごくいいことだと思う」と活動に賛同する。

一方で、ネコに会いに来る人の理由も様々だ。

ネコに会いに来た人:
家ではネコが飼えないから…

自分で飼えなくても、みんなでネコを保護することなら。

女将の河合さんは「責任持って最後まで。世の中捨てネコが多いということを、みなさんに知ってもらいたい」と胸の内を明かす。

癒やしを与えてくれるのは、かつて捨てられたネコ。命を考える優しい空間だ。