“異常な暑さ”続く新潟 “水不足”で田んぼひび割れ…農家も苦渋の決断「刈り取って処分。来年に備える」|FNNプライムオンライン (8月時の取材)
ひび割れた田んぼ 被害は「深刻」
上越市牧区の棚田で収穫の時期を迎えているコシヒカリ。
黄金色に輝く田んぼは実りの秋を印象づけるが、今年の夏の水不足の影響を大きく受けていた。穂を見ると、完全に実っていないのが分かる。
その原因が田んぼのひび割れだ。上越市では水不足により、一部の地域で田んぼのひび割れが発生した。
実るほど頭を垂れる稲穂だが、ひび割れた田んぼでは稲に栄養が行き届かず、実が十分になっていない。
上越市板倉区総合事務所の小林隆浩次長は「田んぼ一枚一枚に入って、ひび割れ・亀裂の状況を確認。ひびが一番深そうなところを掘り出して、ひび割れの深さが20cmあるかどうかを調査している。深刻な被害があるということを確認した」と被害の現状について語る。
猛暑と水不足によってコメ農家をはじめ、多くの農業関係者が頭を悩ませた今年の夏。
亀裂の深さが20cm以上あると、田んぼの保水能力が低下する恐れがあるため、上越市では基準を超える被害が発生したコメ農家などに対し、復旧工事にかかる費用を65%支援する。
コメ農家の中川卓夫さんは「これを全部復旧すると、うちの場合600万~700万円近くかかる。先祖からずっと守ってきた。田んぼを荒廃地にしたくない」と話す。
しかし、ひび割れの影響は保水能力の低下だけに留まらない。
見つかったのは、田んぼのあぜ道にできたひび割れ。この、ひび割れた箇所に雨が降ることで地滑りが発生する危険性もあると言う。
中川さんは「この地区では、まだ一枚も田んぼが荒廃していない。全部守っている。地滑りしたりしてしまうと、今度は守り切れなくなる。それをなんとか守りたくて」と切実な思いを口にする。
これまで、上越市には田んぼ約2700枚の復旧工事の申請が寄せられていて、市は10月中旬までに調査を、冬までに工事を終わらせる方針だ。
収穫量の減少や品質検査の低下によってコメ農家の収入も下がっている。県も自治体を支援する方針だが、コメどころ新潟を支える農家への支援が重要と言えそうだ。