「学校町」という地名は新潟にしかないらしい
ー 学校町 ー
新潟市中央区学校町通や長岡市学校町をはじめ、妙高市学校町、加茂市学校町、十日町市学校町･･･など、新潟県15自治体にある、ごくありふれた普通の地名です。
特に教育機関のある地域に多く見られ、柏崎市学校町には保育園と小学校・中学校・高校がそろっています。そうした中2021年、日本を代表する地図制作会社の公式X（旧Twitter）の投稿が話題になりました。
地図制作会社ゼンリンのX（旧Twitter）より：
「学校町」という地名は、新潟県にしかないの？教えてゼンリンさん！というお問い合わせを受けて、当社の地図でも調べました。どうやらそのようです！
馴染みあるありふれた地名が日本全国で新潟県にしかなかったという衝撃の事実に、新潟県民は驚愕！
Q.学校町って割とメジャーだと思いませんか
新潟県民：
確かにそうですね。（実は新潟にしかない）え！そうなんですか。
なぜ新潟県にだけ「学校町」？ 地理のプロに聞いてみた
この事実は、これまで新聞などでも取り上げられてきましたが、その理由はいまだ不明。
そこで、地理のプロフェッショナルに話を聞いてみました。
話を聞いたのは、「月刊地図中心」という地図雑誌の編集長・小林政能さん。NSTの番組「スマイルスタジアム」で放送した古地図の旅のほか、「ブラタモリ」「タモリ倶楽部」など、数多くの地図特集に出演してきた地図の達人です。
そんな小林政能さんが調べても、「学校町」という地名は他の都道府県にはなかったそうです。
では、なぜ新潟県だけに「学校町」という地名がいくつもあるのでしょうか。
その歴史は明治時代までさかのぼります。
「学校町」戦前は新潟市と長岡市だけだった
「学校町」には意外に古い歴史がありました。現在の新潟市中央区学校町通は明治維新から間もない1873（明治6）年の地図には「学校通」の名前がすでに記されています。
周辺には明治時代から現在の新潟大学の前身である新潟医学所や県立新潟中央高校の前身である新潟県高等女学校などがあり、今も旧北国街道沿いに学校が集中しています。
小林さんによると、戦前から「学校町」という地名があったのは、新潟県内でも新潟市中央区学校町通と、移転前の新潟大学工学部があった長岡市学校町だけ。
地名の整理統合がきっかけで急増！？
では、なぜ戦後に県内で「学校町」が急増したのか。小林さんはこう推測します。
「和40年代に全国的な地名の整理統合が行われました。新しい地名を決める時は住民の間で対立やトラブルが付き物ですが“学校”や“文教”はイメージがいい上に子どもたちの教育に関わる地名なのでなんとなく反対意見を出しにくい。」
「さらに県内の主要都市である新潟市と長岡市にすでに存在する”前例ある地名”であることも、新潟での相次ぐ学校町の誕生を後押ししたのでは」と見ています。
こうした理由から新潟県内で『学校町』が急増したのかもしれません。
ちなみに「文京町」は1都13県に。「文教町」は6県にありますが、なぜ新潟県以外に「学校町」が一つもないのか、謎は残ったまま･･･。
なお全国にはユニークな町名がたくさんあります。
北海道旭川市の「パルプ町」、山口県山陽小野田市と大分県津久見市には「セメント町」など、地域で盛んな産業に由来した地名や、愛知県豊田市「トヨタ町」、大阪府池田市「ダイハツ町」、群馬県太田市「スバル町」。変わったところでは仙台市青葉区「ニツカ」、長崎県佐世保市「ハウステンボス町」など企業に由来する地名なども。
この問題についての情報をご存知の方は、ぜひ番組公式Xなどに情報をお寄せください。
毎週日曜午前9:30に放送している『潟ちゅーぶ』では、身近なギモンや気になるウワサを募集中！ＳＮＳ「＃潟ちゅーぶ 」で情報をお寄せ下さい。
