禁止エリアで滑走 なぜ?直撃すると…
日も暮れた新潟駅南口の広場やその周辺でスケートボードを楽しむ若者たち。傍らには、そのスケートボードの禁止を呼びかける看板が設置されている。
なぜ、禁止エリアでスケートボードをするのか尋ねると、「楽しいから。みんなここでやるのが楽しい」と何とも無責任な言葉が返ってきた。
現在、新潟市内にはスケートボードができる施設として無料で開放されている西海岸公園スケートエリアがあるほか、今年7月には有料のスケートパーク「AIRMANスケートパーク」もオープンしている。
しかし、「お金とか交通費とかかかる。何ならここだけ開放したらいい。スケボーするのにそのほうが絶対いい」というのが彼らの言い分だ。
ただ、彼らの行為によって怖い思いをしている人がいるのも事実だ。
駅の利用者は困惑…「ちょっと怖い」
駅を利用する人に話を聞くと「騒音を立てたり、通行人に対して迷惑だと思った」「ちょっと怖い。ここでやられるとうるさい」「あの雰囲気の中を通っていかなければいけない。ちょっと、あ~と思う」と困惑した表情を浮かべていた。
それを伝えると…「それは…そういうのは…」と言葉を濁しながら「駅通路だけ開放するとかでいいんじゃないですか?」と話していたが、近づいてきたパトカーに気付き、禁止区域をスケートボードに乗って走り去っていった。
相次ぐ通報 警察の業務に支障も…
駅前広場の利用者や通行人などからの苦情は警察への通報として寄せられ、警察の業務にも支障をきたす事態となっている。
新潟警察署・地域課の中島陵地域官は「スケートボード以外で人命に関わったりする緊迫した現場もたくさんある。本来はすぐに警察官をそこに動員しなければいけないのに、110番通報に警察官が動員されているという現状はある」と話す。
新潟署管内では、今年10月末までのスケートボードの迷惑行為に関する通報が去年より多い1222件に上っていて、多い日には一晩で十数件の通報が寄せられているという。
その一方で、通報を受けて駆け付けた警察官が迷惑行為の当事者に行えるのは、「指導」にとどまっているのが現状だ。
中島地域官は「条例には、はっきりと“スケートボード禁止”と書かれていないので、正直なかなか強めにその場から立ち去らせたりということまではできないのが現状」と話す。
現在の新潟駅前広場条例では、「施設または設備を汚損する恐れのある行為をすること」を禁止行為に定めていて、具体的に「スケートボード」が禁止行為として明記されていない。
ただ、駅前広場のベンチにはスケートボードによるものとみられる傷が多数見受けられた。こうした迷惑行為がもたらすのは規制の強化だ。
市議会で規制強化を検討
新潟市の9月市議会では、新潟駅前での禁止行為にスケートボードなどを具体的に明記し、違反者の入場の禁止や退場を命じられるようにする条例の改正案について議論。来年4月の施行に向け、検討が進んでいる。
新潟市の佐久間なおみ中央区長も「本市の顔・玄関口である新潟駅前広場での迷惑行為は、都市のイメージダウンにつながることから、安全で快適な利用環境を確保し、美しい駅前広場を維持するため、これまでの取り組みをさらに強化するとともに新潟駅前広場条例の改正についても検討を進めてまいります」と答弁している。
スケートボーダーの本音も「楽しめる場所少ない」
その一方で、今年7月にオープンしたスケートパークの利用者も「迷惑行為はやめるべきだ」としながらも、スケートボードを楽しめる場所が少ないということも感じているようだ。
「日本人の活躍がすごい。その割に、競技ができる場所がまだ少ないという面もある。それは言い訳にはならないが、お互いが歩み寄って行ければいいのかなと感じる」
「公共の場を勝手に無断で使ったりするのはよくないと思うし、ルールを守ってスケボー文化を発展させていくというのがいいと思う」
規制の強化とともに、市議会では「新潟駅前にもスケートボードを楽しめる場所を設置してはどうか」といった意見も出されているが、「ルールを無視し、注目を浴びたいだけの若者もいる」として慎重な姿勢を崩さない新潟市。
スケートボードをより身近な競技にするためには、ルールを守った上で環境の整備を求めていくことが重要と言えそうだ。