“スタック”大規模立往生の原因にも…
話を聞いたのは、NEXCO東日本で道路状況や安全運転のポイントなどについて発信する小池海渋滞予報士だ。
「交通集中による渋滞は発生しないと予測しているが、どうしても事故による渋滞は起きる可能性がある。事故やスタックに注意していただければ」
この冬、新潟県内の高速道路では年末年始を含め、「交通量の増加による渋滞はない見込み」となっているが、記録的な大雪に見舞われた2020年12月、関越自動車道の上下線で、3日間で約2100台に及ぶ滞留が発生。
大規模な滞留のきっかけとなったのが、車が雪道にはまって動けなくなるスタックだ。
なぜ?スタックが発生する理由
こうした車のスタックはどのようにして起こるのか、小池さんは次のように解説する。
「大雪時には、吹雪による視程不良や積雪による道路幅の減少などにより、次第に車の速度が落ちていく」
雪が降り積もる中、車が停止すると、タイヤからの熱や車自身の重みでタイヤが雪に沈み込む。
その状態で発進しようとするとタイヤが空転。最初は簡単に抜け出せても、後続車が通るたびに徐々にくぼみが深くなっていき…
「出ようとする摩擦熱でさらに雪がとけて、さらに溝が大きくなる。その雪が凍って、さらに滑りやすくなって、さらに空転していく。このような摩擦力の低下によって、タイヤがくぼみから脱出できなくなってスタックが発生する」
脱出するには…「アクセル踏み込みNG」
こうして万が一、スタックしてしまった場合、やってはいけないことがある。
「勢いよくアクセルを踏み込んでしまうと、勢いよくタイヤが回って空転してしまって、さらに溝が大きくなるという事象にも発展する」
つい勢いをつけて脱出したくなるところだが、アクセルをゆっくり踏み、摩擦力を生かして進むことが必要だという。
その際、毛布やフロアマットなどをタイヤと路面の間に挟み、グリップさせる対策も有効だ。
スタックや事故回避へ 事前の準備を!
そして、そもそもスタックや事故を発生させないために冬用タイヤの確実な装着や急発進・急加速・急停止を避けること、最新の気象情報を確認することなどが重要だ。
「大雪予報が出ているときや大雪が降っているときは不要不急の外出を控える。どうしても外出が必要な場合は、迂回ルートの検討や日時の変更も合わせて検討していただければ」
訪れた本格的な雪のシーズン。より一層、慎重な運転が求められる。