スキー場で“新雪”による事故相次ぐ はまると身動きとれず溺れるような状態に…“新雪”に潜む危険

新潟県湯沢町のスキー場で12月23日、スノーボードをしていた中国籍の女性が、新雪に転倒し、窒息死する事故が発生した。翌日には、スノーボードをしていた50代男性が新雪にはまり、身動きが取れなくなり、救助を要請する事案も。新雪の危険性について取材した。

“新雪”で転倒 窒息死する事故

12月23日午後3時半ごろ、新潟県湯沢町のかぐらスキー場で、中国籍の27歳の女性が友人3人とスノーボードをしていたところ、新雪に転倒し、身動きが取れなくなった。

資料:かぐらスキー場(湯沢町)

「女性がコース外で滑走中に転倒した。意識がなく、呼吸もしていない」とスキー場関係者から通報があり、女性はスキー場関係者によって救出。しかし、呼吸がなく、心肺停止の状態で南魚沼市内の病院に運ばれたが、その後死亡が確認された。窒息死だった。

団体のツアーで日本を訪れていたという女性。女性と一緒に滑っていた友人が撮影していた動画には、女性が頭から新雪に突っ込むような形で転倒する場面が映っていたという。

警察によると、女性が見つかったのは普段は上級者コースで、23日は新雪が多かったため、スキー場が滑走を禁止していた場所だった。この滑走禁止の看板は日本語だけでなく、英語でも表記されていたという。

資料:かぐらスキー場

また、翌日には湯沢町の神立スノーリゾートで、埼玉県の50代男性が1人でスノーボードをしていたところ、新雪に埋まり、身動きが取れなくなった。男性はスキー場のパトロール隊が発見し、無事救助された。

“新雪”の危険性「身動きとれなくなる」

相次ぐ新雪での事故…石黒菖気象予報士は「新雪は誰も踏み込んでいないので、軽くて柔らかい。そのため、足を踏み込んでしまうと、深くまで沈み込んでしまい、身動きが取れなくなってしまう」と、その危険性を指摘する。

実際に、12月23日、湯沢町では正午までの24時間に53cmの雪が降っていて、スキー場がある山沿いではさらに多くの雪が降った可能性がある。

水や雪による事故などについて研究している長岡技術科学大学の斎藤秀俊教授は「新雪は本来は窪んでいるのに、平地に見える時があるので危険」と指摘する。

典型的な例が、大量の雪が降った後に木の周りにぽっかりとできるツリーホールと呼ばれるポケットのような穴のことだ。

枝や葉の上に雪が積もっていくため、木の周りはそこまで雪が積もらず、穴のようになっている状態で、新雪で雪がふわふわしている状態だと、ツリーホールのふちがどこなのか分からなくなってしまうという。

そのため、斎藤教授は「スキー場ではコース外への進入は絶対にしないこと、本来のスキー場ではないところに入り込まないこと、また雪の状況で立ち入り禁止や滑走禁止になっているエリアもあると思うので、情報の確認もすることを徹底してほしい」と呼びかけている。

はまったところから抜け出そうとすればするほど、沈み込んでしまうのも新雪の特徴で、雪に溺れたような状態になってしまうという。

新雪では救助する側も雪に埋もれてしまう危険性があるので、最悪の場合、雪がとけるまで救助に来てもらえない可能性もあることを覚えておく必要がある。

安全に楽しむため…“スキー場”での注意点

警察はスキー場での注意点について、次のように呼びかけている。

〈スキー場での注意点〉
・1人で楽しむ場合は、家族や知り合いにどこのスキー場に行って、何時ごろ戻る予定なのかを伝える
・滑走禁止になっている場所では滑らない
・天気予報を確認する
・自分の技術を過信しない
・連絡手段を持つ
・子どもと一緒に来ている時は子どもから目を離さない

自分は大丈夫と過信せず、スキー場でのルールを守ってウインタースポーツを楽しみたいところだ。