91歳の女将が仕込む“ジンギスカン”
新潟県胎内市にある「志まつ食堂」ののれんをくぐると…厨房で仕込みをしていたのは女将の嶋津美恵子さん、御年91歳。
仕込んでいたのは、1958年に創業して以来、66年もの間、店の看板メニューとなっているジンギスカンだ。
「この機械も60年以上使っているから、ポンコツになっている。(忙しい時は)30kgくらい肉を切る。無我夢中」
創業当時から継ぎ足しの“味噌ダレ”
定休日はなく、早いときは朝5時に仕込みを開始するという嶋津さん。そんな嶋津さんが守り続けているのは、創業当時から継ぎ足ししてきた味噌ダレだ。
中身について聞くと…「色々入っていて、皆さんに教えるわけにはいかない。いっぱいあって。一番のメインはショウガ・ニンニク」
何が入っているかは嶋津さんしか分からない、まさに秘伝のタレだ。
このタレをジンギスカンにたっぷりまとわせて網に乗せてじっくり焼くと…ショウガとニンニクのパンチの効いた香りが漂ってくる。
味噌ダレは甘辛く、ショウガとニンニクが効いていて羊の臭みをまろやかにしてくれる。また、肉一枚一枚が大きくて食べ応えもある逸品だ。
志まつ食堂のオススメは、溶き卵にくぐらせていただく「すき焼きスタイル」のジンギスカンだ。
島津さんは「羊肉のクセをなくすためにショウガとか様々入っている。卵をつければ、のどの通りもいい」と話す。
店を守ってきた女将「100歳まで続けたい」
客から愛されているのは味だけではない。
20年以上通う常連客は「ばあちゃんに会いに来ている。ファンが多い」「元気だなと思って、いつも覚えていてくれる」と、嶋津さんに会いたくて通う客も多いようだ。
嶋津さんに長年続けてこられた原動力を聞くと、笑顔で答えてくれた。
「お客様だね、お客様がいっぱい来てくれるから。とにかくいつでも楽しい。楽しくてしょうがない。人が来てくれるから嫌な日はない。今のところ健康そのものだから、欲張り100歳まで何もなければ続けたい。(今年)92歳になる。一年はあっという間だから大丈夫だと思うんだけど」