阿部ななさん 中学校を卒業
3月10日、新潟県新発田市の加治川相撲教室で稽古に励んでいた中学3年の阿部ななさん(15)。
2023年に初めて世界大会に出場し、女子ジュニアの部で世界2位に輝いた。
そんな、ななさんもこの春、地元の紫雲寺中学校を卒業。卒業式では一番に卒業証書を受け取った。
ななさんの堂々とした姿にそばで見守ってきた母・惣子さんは「3年間立派だった。頑張ったと思う」と話した。
3年前、小学校の卒業式で初めて着用し、当時は初々しかった制服も今ではすっかり着慣れたようだ。
紫雲寺中学校に相撲部はないため、部活動には所属していなかったが、中学校の廊下にはななさんの活躍を紹介するコーナーが設けられていた。
ななさんは、中学校での3年間を振り返り、「楽しかった。昼休みとか、みんなとお話したりすることが楽しかった」と話した。
一番の思い出は体育祭だと話すななさん。応援リーダーを務め、チームをまとめた。
新潟から石川へ! 相撲の強豪校に進学
卒業式後、クラスメートからサインを求められるななさん。中学校生活最後のホームルームではみんなに感謝の言葉を伝えた。
阿部ななさん:
2年間みんなと楽しい思い出がつくれてよかったです。それぞれの道へ進んでも頑張っていきましょう。ありがとうございました
ななさんの話す「それぞれの道」とは…
(Q.ななさんはどこへ?)
阿部ななさん:
石川県の金沢学院大学付属高校
ななさんは地元・新潟を離れ、石川県の相撲の強豪校に進学することを決断したのだ。
ななさんのクラスメートも寂しさを見せながらも、ななさんの活躍に期待を寄せていた。
「ななちゃんは努力家だと思う。尊敬している。寂しいけど、ななちゃんの夢を諦めないで、私は遠いところから応援したい」「どこへ行っても応援している。頑張ってほしい」
姉・さくらさんが感じた“ななさんの成長”
クラスメートも尊敬するななさんは今、世界的にも注目され始めている。この日はフランスの国営テレビの取材を受けていた。
4月の入学式まで新潟に残り、ギリギリまで新発田で稽古を続けるななさん。
8年間通い続けた相撲教室での稽古も残りわずか。大人の胸を借りながら汗を流していた。
相撲を辞め、現在はななさんのサポートに回る姉のさくらさんはななさんの決断について「寂しい…正直に言うと、心配とか寂しいという気持ちが多い」と話すと同時にななさんの成長も感じたという。
「変わったなと本当に思った。(今までは誰かに)『着いていく~』『成り行き~』という感じだったのに『石川に行く』と聞いて、お~みたいな。びっくり!」
今までのななさんは相撲を始めたのも「姉のさくらさんが始めるから」という理由。
中学進学時に県外から姉妹一緒にスカウトが来た時も…「さくらが行きたいと言ったら行こうかな~って感じ」と何をするにも“お姉ちゃんと一緒”だった。
しかし、今回の進学は自らの意志で決めた。その理由についてはきっぱり。
「強くなるために」
地元を離れるななさんに“心強いライバル”も
「強くなるため」に選んだ金沢学院大学付属高校。大学の付属高校なので、相撲部は中学生から大学生まで一緒に稽古に励んでいる。
その高校には加治川相撲教室でともに汗を流した生徒も進学。ななさんと幼い時から切磋琢磨してきた星結仁さんだ。
「石川の体験入学に行った時に相撲部の環境がよくて、相撲をするならこっちだなと思って。最初は女の子に負けてすごく悔しかったので、そこから強くなろうという一心で、ななちゃんを倒すということを目標に相撲をやっていた時期もあった。ななちゃんは自分にとってライバルですごくいい存在だと思う」
ななさんにとっても、星さんの存在は大きいようだ。「(星さんが一緒で)安心できる。一緒に頑張っていきたい」
家族と離れ新たな一歩! 目標は「世界一」
しかし、「(不安なことは)一人で起きられるか…今はお母さんが起こしてくれる」と初めての寮生活に不安ものぞかせていた。
それでも、家族はななさんの挑戦を温かく見守る。惣子さんは「本人を信じて、ななは多分大丈夫!と思って見守る」と話し、さくらさんも「(ななが)相撲が楽しいとか、相撲が好きという気持ちがなくならなかったらいいかなと思う」と話した。
家族の元を離れて新たな一歩を踏み出すななさんは目標について力強く語った。
「世界一になりたい」