人身被害相次ぎ… クマを“指定管理鳥獣”に追加
行楽や山菜採りなどで山に入る機会が増えるこれからの時期…人間と同じく動きが活発になるのが冬眠明けのクマだ。
クマの生態に詳しい長岡技術科学大学の山本麻希准教授は「2023年、エサが悪くてクマがお腹空いた状態で寝ている。春は比較的、どの山でも山菜がしっかり出ているので、それを今起きて、慌てて食べているところだと思う」と話す。
2023年、ツキノワグマによる人身被害が9件発生し、10人がケガをしている新潟県。
全国でも人身被害が相次いだことから、環境省は4月16日、クマを「指定管理鳥獣」に追加したと発表。国の交付金を使って捕獲や個体数の事前調査・管理ができるようになる。
山本准教授は「ただ単に減らすのではなく、きちっと個体群が保全されている。そもそもクマの数を科学的にモニタリングしながら、個体数を調整していくための予算がついたというふうに考えられる。クマの個体が増えていることは事実だが、きちっと調査をした上で増えすぎた個体や悪質個体を管理していくという考え方」と国の狙いについて説明する。
親離れした“子グマ”増加…「人間への警戒心弱い」
一方で近年、人身被害が増えている理由については個体数の問題だけではなく、クマの生息エリアが、人間が生活するエリアに近づいて来ていることが原因だと山本准教授は分析。
こうした中、県内では4月に入ってクマの目撃・痕跡件数が増え始め、4月17日現在で14件寄せられている。
特に2024年は親離れした子グマが増えていると山本准教授は警鐘を鳴らす。
「2022年が久々にエサのいい年だったので、その時にクマが子どもを産んでいる。親離れした子グマがそこらへんにいることがあるのが2024年の特徴になる。子グマは怖いもの知らずで好奇心が強かったり、人間への警戒心が弱かったりする。ましてや母グマが集落でエサを食べている母グマだと子どもも一緒に集落でエサを食べた経験を持っているので特に注意が必要」
3年前には新発田市の60代男性が藪の中にいた子グマを踏んで噛まれるなどの事故も発生している。
子グマに遭遇した際には決して近づかないことが重要だ。
「山に入る方は音を出してもらうとか、複数の人数で行動するとか、クマに『ここに人がいるんだよ』と知らしめながら入るようにしていただきたい」
初夏を迎えると山にエサがなくなり、クマが集落に下りて来ることがあるため、特に注意が必要だ。