60年ぶりのリニューアルが進む新潟駅。これに伴い、新潟駅直下の新バスターミナルが3月末に開業した。すでに多くの人が利用する一方で、横断が禁止されているバス専用道路を横断する人が後を絶たないという。一体なぜなのか…その実態を取材した。
3月31日に開業した新潟駅直下の新バスターミナル。開業から3週間が経ち、いま問題となっているのが禁止されているバス専用道路の横断だ。
万代口方面に向かうバスと南口方面に向かうバスがバス専用道路を挟む形で乗り場が分かれている新バスターミナル。
反対側の乗り場に向かうためには、エスカレーターや階段を使って駅2階を経由するか、回り道をして横断歩道を利用する必要がある。
新バスターミナルの平日のバス発着台数は約2600台。ほとんど休みなくバスが往来しているため、歩行者の横断によって事故の危険性が高まることから新潟市では横断を禁止しているのだ。
新バスターミナルでは2月末から看板を設置して「バス専用道路は歩行者の横断はできない」と告知されていたが、4月下旬も横断する人が後を絶たないという。
新潟交通のバススタッフも「横断する人が多い。毎日いる」と話す。
取材をしたこの日にも、バス専用道路を横切る親子の姿や道路を渡ろうとして係員に呼び止められる女性の姿が見られた。
なぜ、禁止されている道路を横断するのか…道路を横断しようとした女性に話を聞くと「新しくできたばかりでよく使い方が分からない。ここは渡れないんだというのは、いま分かった」と話し、周知が足りていない現状が明らかに。
一方、一般の利用者からは「渡って行けないというのが…今もエスカレーター降りてきて、向こうに行けるといいよねと2人で話していた。また上に上がらないといけない」など不便さを訴える声が聞かれた。
実際に駅の2階を経由する時間を測ってみると、かかった時間は約2分。横断歩道を経由するルートでは信号の待ち時間も含め5分ほどかかった。
新潟市にもこれまでに横断歩道の設置を求める意見や苦情などが複数件寄せられているという。
新潟市「横断歩道設置は難しい」 利用者へ理解呼びかけ
横断歩道を設置することはできないのか…新潟市の中原八一市長は安全性の面などから横断歩道の設置は難しいと話す。
そのうえで「バスの安全かつ円滑な運行が求められるということで、市民の皆さんからはご理解をいただきたいと思っている」と利用者へ理解を呼びかけた。
新潟市は今後、横断禁止の看板を新たに設置するなど対策を講じる考えだ。
4月25日には新潟駅ビル「CoCoLo新潟」がグランドオープンし、さらに利用者が増えることが予想される。
観光客など新潟駅を訪れる人への周知が求められる一方、事故を防ぐためにも利用者側もルールを守ることが重要だ。