大の里“初優勝”に沸く糸魚川市
東京の両国国技館で行われた大相撲夏場所の千秋楽。
11勝3敗の単独首位で、勝てば初めての優勝が決まる大一番に臨んだのが、糸魚川市の海洋高校・相撲部出身で二所ノ関部屋の小結・大の里だ。
中学・高校時代を過ごした糸魚川市でも後輩をはじめ、多くの市民が固唾をのんで見守る中、見事、押し出しで阿炎を破り初優勝を飾った。
この快挙に糸魚川市のパブリックビューイング会場も大きく沸いた。
海洋高校・相撲部の内山龍之介主将は「すごく自分の相撲取り切っていてかっこいいなと思った」と快挙を称え、当時、下宿で食事を作っていた女性は「あの子はもう自分の力で優勝をつかんだので一番うれしい」と笑顔で話した。
大の里の大学時代の同期で、現在、海洋高校でコーチを務める寺尾拓真さんも自らのことのように喜んだ。
「彼が苦しい時も一緒に共に過ごしてきたし、感無量。いつかは優勝するだろうなと思っていたし、大関・横綱になるような存在だと思うので、遅かれ早かれするものだなと信じていた」
2023年の夏場所で初土俵を踏み、その1年後に見事、幕内の優勝を手にした大の里。
初土俵から7場所での優勝は尊富士が春場所で記録した10場所を更新し、史上最速での優勝となった。
“土台部分つくった”中学・高校時代
5月27日の会見で大の里は「天皇賜杯を抱いた瞬間が優勝したという実感がすごく湧いた。優勝のことは考えずに、一日一番、集中して相撲をとることができたので、それがよかった」と話した。
また、糸魚川市で過ごした中学・高校の6年間についても振り返った。「大きく芽は出なかったが、中学・高校時代はそこで土台となる部分をつくってもらった」
大の里は「相撲大好きな相撲小僧」
2015年にNSTが能生中学校と海洋高校の相撲部を取材した映像には、中学3年生で顔つきにあどけなさが残りながらも真剣に稽古に汗を流す大の里の姿が残っていた。
中学1年から6年間、大の里を指導した村山智明さんは「とにかく素直。負けず嫌いで向上心があった」と大の里の強さの秘訣について話す。
「明るくて素直で、何より相撲が大好きな相撲小僧みたいな子だった。長い目で見て、ケガをしないことが上を目指したり、力士人生を長くしていくために必要なところだと思うので、そこは十分気をつけてもらいたい」
「上へ上へ…」さらなる飛躍誓う!
糸魚川市での稽古で力をつけ、海洋高校出身者として初めての優勝を果たした大の里。アマチュア横綱に2度輝いた逸材は次の目標に向け、気を引き締めている。
「もちろん優勝はうれしいが、最終的な目標はここじゃないと思っているので、これからまたさらに上へ上へと駆け上がりたい」
第2の故郷・新潟からの期待も背負い、飛躍を誓う大の里のさらなる活躍に期待だ。