筋ジストロフィーで車いすの生活に
2023年、早めの開花となった新潟市中央区の桜。4月10日、少し遅い花見で、仲間と笑顔で話をしていたのは小出雄次さん(53)。
小出雄次さん:
出かけるだけなら1人でもいいけど、出かけたときに仲間と会うのはうれしい
新潟市中央区にある小出さんの自宅。小出さんの生活に車いすが必要になったのは、47歳のとき。
小出雄次さん:
「筋ジストロフィー」という病気で筋肉が少しずつ衰えてくる。若いときは歩けたが、5~6年前から歩くことや立ち上がることができなくなった
写真が趣味で会社員をしながら、全国の美しい風景を撮影してきた小出さん。
小出雄次さん:
電動アシスト車いすは、自分で車輪を回すと、電動モーターがアシストする
小出雄次さん:
病気と分かったところで、ある日突然何もできなくなるわけではない
日常生活に車いすが加わっても、以前と行動範囲が変わらなかったという小出さん。理由は趣味の写真だった。
小出雄次さん:
ここに花があると知らなかった。出かけないと、こういうことにも気付けない
車いすを利用して1人での行動範囲を広げた小出さんは、バスや電車など公共交通機関を利用して新潟市内だけでなく、様々な場所へ出かけている。
しかし、車いすで移動することで、これまで見えなかったことを感じるようになったという。
小出雄次さん:
歩けたころには何でもなかった小さい段差が車いすではストレスになる
趣味生かし“車いす対応”の地図作成
小出さんがインターネットで公開している新潟市の地図がある。
小出雄次さん:
障がい者が利用できる施設や飲食店を発信している
小出雄次さん:
私が知らない街に行ったとき、車いすに対応する店が分からなかった。だから車いす対応の地図があれば、車いすを利用する人が助かると思った
趣味の写真を多く使い、見て分かりやすい情報を盛り込んだ地図。力を入れているのは、車いすでも利用できる多目的トイレだ。
小出雄次さん:
ただ、トイレがあるというだけではなく、「こういうトイレですよ」と。意外とこういう情報は分からないので
情報を送る側も、受け取る側もスマートフォンにより手軽につながれる今だからこそ…
小出雄次さん:
昔だったら、印刷して配るとかだったんでしょうけどね
慎重に作業を進めるのは、「情報の正確さが必要だから」だと話す。
小出雄次さん:
これを見て間違えられたら大変なので
さらに4年前から始めたのが、動画を配信するYouTube。
小出雄次さん:
これは、車いすでもバスに乗れるという動画。運転手さんがこういうふうに手伝ってくれるよというものを動画にした
大きく変化している新潟駅も実際に車いすで移動。
小出雄次さん:
新潟駅で最近開通した新しい通路。車いすでも通りやすいけど、まだ工事中なので、こういう状態だというのを伝えている
小出雄次さん:
これから増えてくる高齢者や足腰の不自由な人、ベビーカーを利用する人がストレスの少ない生活を送れるように。車いすの立場から手助けできることもある
車いすを使うようになって気付いたことを、誰かの笑顔と高齢化が進む未来のために…
小出雄次さん:
外に出れば、新しい道が開けたりする
車いすから見える日常の世界に変化をもたらすきっかけづくりは続く。