「冷めても美味しい米」が、ハワイの食卓を変えている——。新潟県新発田市の農村で始まったオーガニック新発田プロジェクトが、今や海外で引っ張りだこの人気商品を生み出した。若者が農業に魅力を感じ、地域が活気づくその裏側には、ある“仕掛け人”の情熱があった。
「バッチリ成功してます」——現場で聞いた力強い言葉
新発田市の田園地帯。青々とした稲が風に揺れる中、地域おこし協力隊の一員として活動する樋口さんは、誇らしげに語ります。「販路が確立しているっていうのが、農家にとって一番魅力なんですよ」
この地域では、有機米の産地形成、加工品の付加価値向上、そして海外販路の拡大という三本柱で「オーガニック新発田プロジェクト」が進行中。特に注目すべきは、ハワイへの輸出です。現地の握り販売店が有機米を探していたことがきっかけで、今では供給が追いつかないほどの人気ぶり。
農薬ゼロ、飲める水で育てる——徹底したこだわり
新発田オーガニックプロジェクトに参画している斎藤社長は、有機栽培の徹底ぶりをこう語ります。「農薬も化学肥料も一切使っていません。栽培している場所は、飲めるほどきれいな水が流れるところなんです」
雑草対策には自社開発のチェーン除草機などを使用し、虫除けには玄米黒酢や酢を活用。収穫後は光センサー付きの色彩選別機で、虫や異物を徹底的に排除。こうした細やかな工程が、冷めても美味しい米を生み出しています。
若者が集まる農業の未来——収益とやりがいの両立
農業といえば後継者不足が課題とされがちですが、新発田市では違います。「うちの集落では、若い子たちが4〜5人、ちゃんと農業やってますよ。サラリーマンに負けないくらいの給料を得られれば、魅力を感じますよね」
このプロジェクトの成功の背景には、地域おこし協力隊の制度があり、農業未経験者でも挑戦できる環境が整っています。斎藤社長は将来の展望について、「有機栽培面積を100ヘクタールに広げたい。東京ドーム20個分くらいですね」と語ります。
さらに、農業に興味がある若者に向けて「新発田市で農業を始めたい方は、ぜひ応募してほしい」と呼びかけます。「ガッチリですよ。ぜひ!」
しっかり儲かる農業——情熱と技術を以て挑む
実際に食べた杉本萌ディレクターも驚きの声。「もちもちで甘くて、一粒一粒がしっかりしている。冷めても美味しいって、本当だったんですね」
新発田市のオーガニック米は、地域の未来を担う若者たちの希望であり、世界に誇れる日本の食文化の象徴です。冷めても美味しいその一粒に、情熱と技術、そして地域の絆が詰まっています。