市場規模は縮小?新潟ハロウィーンの進化を追う 1989年から2024年まで街や仮装の変化を辿る

市場規模は前年比93.0%の1673億円と試算されている2025年のハロウィーン。街で多くの人が仮装する姿が見られるが、ハロウィーンが日本で盛り上がるようになったのは、一体いつからなのか。NSTのアーカイブ映像をもとに、昭和から令和まで“新潟のハロウィーン”の変遷をたどる。

1989年――手作り仮装の温かさ

1989年10月、新潟伊勢丹前。通りには、個性あふれる手作り仮装に身を包んだ人々が集まり、コンテストが開かれた。流行アイテムや人気キャラクターを模した衣装が並び、審査員3人による採点も行われた。

新潟伊勢丹前で行われた

スター・ウォーズ風のコスチューム、ヒット玩具の仮装、出典不明のキャラクターたち――すべてが手作りで、創意と熱気が感じられた。まだ「ハロウィーン」が一般的でなかった時代、街の真ん中で自由を楽しむ人々の姿が印象的だ。

2016年――“非日常”が街を包む

2016年の新潟では、ハロウィーンが“街ぐるみの祭り”へと変化していた。ポップアップのコスプレ専門店や老舗和菓子店の限定商品、商店街イベントまで。仮装する人、見る人が一体となり、街全体が非日常の空気に包まれた。

「小さい頃はおばけのイメージ。今は自分を表現できる日になった気がします」

「去年よりクオリティを上げたくて、メイク頑張りました」

仮装は“個人の遊び”から“仲間と目立つ文化”へ。街がキャンバスとなり、カラフルなエネルギーが広がった。

老舗和菓子店の挑戦――伝統と遊び心

新潟市内の老舗和菓子店では、上生菓子にかぼちゃやオレンジをあしらったハロウィーン限定商品が登場。

「イベントを通じて、和菓子に興味がなかった方にも足を運んでほしい」

伝統に季節の遊び心を添えることで、新しい客層を呼び込んだ。“和”と“洋”の出会いが、地域の季節感を豊かにしていく。

街が演出する“いつもと違う新潟”

週末には思い思いの仮装が通りに集まり、写真と笑い声であふれた。

「半端なく楽しいですね。いつもと違う新潟を見せられたと思います」

非日常が個人から街全体へと広がった2016年。それは、地域の活気を再発見する季節でもあった。

2020年――ホテルに広がるハロウィーン

2020年には、ハロウィーンが宿泊業界にも波及。新潟市内のホテルでは、チェックインと同時に始まる謎解きイベントが人気に。

「お子様から親御さんまで楽しめるよう、簡単なタイプと難しいタイプを用意しています」

館内は華やかな装飾に彩られ、子どもたちは笑顔で走り回る。謎を解くと風船や景品がもらえる仕掛けもあり、まるで宝探しのよう。家族の笑顔を引き出す工夫が、秋の旅行に彩りを添えた。

コロナ禍の中でも、距離・消毒・換気を徹底し“安全と楽しさの両立”を実現。

『ハッピーハロウィン!』

子どもたちの声が響くホテルロビーには、安心と喜びが共存していた。

2024年――恐怖と美容の融合、“血の雨”

2024年、新潟市秋葉区の入浴施設では、恐怖と美容をテーマにしたハロウィーンイベントが話題に。魔女やドラキュラ姿のスタッフが出迎え、手作りの“目玉型入浴剤”を披露した。

「怖いけど気持ちいい」「触り心地がいいですね」

実はコラーゲン配合の美容入浴剤で、“怖いのに優しい”というギャップが人気の理由だった。

さらに女性限定の「血の雨シャワー」も登場。真っ赤な液体が降り注ぐ幻想的な演出に、悲鳴と笑いが入り混じる。

「ホラー映画みたいでちょっと怖いけど、お肌に良さそう」

「女性の方々も“血を浴びに”来られます。来年もパワーアップさせたいです」

恐怖と美の融合は、今や秋の恒例イベントへと定着した。

これからのハロウィーン

1989年の手作り仮装から、2016年の街の祭り、2020年のホテルイベント、2024年の“血の雨”まで。ハロウィーンは、新潟の人々の創意と遊び心を映し出す文化へと進化してきた。

かつては「おばけ」と「お菓子」が主役だった日が、いまや「街そのものを楽しむ日」へと変わりつつある。ハロウィーンは“みんなでつくる非日常”を共有する新潟の新しい風景。その先には、時代を超えて続く“街の笑顔”がある。


(新潟ニュースNST編集部)