2025年シーズン、新潟県では11月上旬までに2つの養鶏場で鳥インフルエンザが発生している。ニワトリの殺処分が進む中で懸念されるのは、卵の価格高騰だ。多くの卵を使うケーキ店では、卵の扱い方も変わってきているという。
値上がり続くも「我慢するしかない」
2025年11月に入り、新潟県内では胎内市の2つの養鶏場で鳥インフルエンザの発生が確認され、あわせて約91万羽の殺処分が行われている。
この状況に不安を感じているのはケーキ店だ。
新潟市西区の『ガトーシェフ三昧堂』の髙井司社長は、鳥インフルエンザの発生に「これ以上出ないでくれ」と祈りながら、その拡大を懸念している。
ケーキの材料として欠かすことのできない卵。JA全農たまごによると、卵の相場は2023年に鳥インフルエンザの影響で過去最高に。2024年以降も鳥インフルエンザの余波に加え、飼料価格の高騰、猛暑などが影響し値上がりが続いた。
2025年11月は、11日までの平均で、Mサイズ1kgあたり334円。2023年に匹敵する高い水準となっている。

鳥インフルエンザが拡大すれば、さらなる値上げも懸念される。
ガトーシェフ三昧堂の髙井社長は、「卵を何かに置き換えることはできないし、我慢するしかない」と話す。
一方で、「客足が遠のくのを避けたい」という考えから価格転嫁は十分に行えていないという。
ロスは出せない…意識も変化
店の厨房では卵を割る仕込み作業が行われていた。卵が高騰し、その扱い方にも変化があるという。

髙井社長は「かつては、卵はそこら中にあるもので、大して気にもしないで使っていた。今は1個でも無駄にできないという気持ちで使っている」と話す。
かつては『価格の優等生』と呼ばれ、ケーキ店にとっても当たり前の食材だった卵だが、現在の価格高騰に対し、店側ができることは“材料のロスを出さない”その一点だ。
過去の鳥インフル時は?
一方、この店では、2年前に鳥インフルエンザが流行した際、卵の確保に苦慮した経験がある。

髙井社長はその当時を「卵が入荷できないかもしれない、ケーキを作れない…ということになりかけた。その時は色んな所から卵を引っ張ってきて、何とか数を確保した」と振り返る。
これから迎えるクリスマス。こちらの店では、11月上旬からクリスマスケーキの予約を受け付けている。
「クリスマス本番に卵がないと本当に困ったことになる。そこだけは避けてほしいと思っている」
卵の供給が滞ることがないことを祈りながら、年一番の繁忙期を迎える。






