“マイナ保険証”の利用率低迷…“紙の健康保険証”12月1日で終了 特例措置の26年4月以降はどうなる?

2024年12月に発行が終了した従来の健康保険証の有効期限が12月1日に迫っている。しかし、マイナンバーカードを健康保険証とひも付けた『マイナ保険証』の利用率はいまだ低迷しているという。その現状を取材した。

“紙の健康保険証”有効期限は12月1日

国がすすめるマイナンバーカードの保険証利用、いわゆる『マイナ保険証』。

“紙の健康保険証”有効期限は12月1日

24年12月をもって発行が停止した従来の保険証は、すべて12月1日に有効期限を迎える。

その後は原則、マイナ保険証か、マイナ保険証を登録していない人はすでに送付されている資格確認書というカードを窓口で提示しなければ、保険診療を受けることはできない。

2021年10月に利用が始まったマイナ保険証は4年が経った現在、どのくらい普及しているのだろうか。

“マイナ保険証”マイナカードを持つ人の87.8%が登録

新潟県内では24年12月時点で、9割以上の病院や薬局といった医療機関で顔認証付きカードリーダーが設置されていて、マイナ保険証が利用できるようになっている。

実際にマイナ保険証を利用している人からは、「暗証番号と医療情報の提供に同意するだけなので簡単にできる」「病院でも『マイナ保険証ありますか』と聞かれるようになったので受診の時には持って出るようにしている」などの声が聞かれた。

新潟市中央区の大滝耳鼻科クリニックでもマイナ保険証を利用する患者が増えているという。

クリニックの大滝一院長は「カードを持っていれば、それで電子カルテや薬の処方歴が確認できるので便利。クリニックでのマイナ保険証の利用率は50~60%くらい」と話す。

マイナ保険証には、データに基づくより良い医療が受けられるほか、手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除されたり、マイナポータルで確定申告時に医療費控除が簡単にできたりするメリットがある。

厚生労働省によると、10月末時点でマイナンバーカードを持っているのは9948万人(全人口の79.9%)で、そのうち87.8%にあたる8730万人がマイナ保険証に登録している。

マイナ保険証の利用率はいまだ低迷

一方、その利用率は10月1カ月間で37.14%にとどまっている。

都道府県別に見ると新潟県の10月のマイナ保険証の利用率は、全国で4番目に高かったものの44.84%だった(1位は福井県で54.71%)。

マイナ保険証を利用しない人を取材すると、「使えなくなったときの手続きとかが心配」(暗証番号を複数回間違えるとロックがかかってしまう)、「ほかの診察券と一緒に保険証を入れているから、それでそのまま保険証を使っている」との声が聞かれた。

暫定措置は26年3月末まで「可能な限り対応を」

12月2日以降、期限切れの保険証を提示したとしても、資格が確認できれば保険診療を受けられる暫定措置がとられるが、それも26年3月末まで。

マイナンバーカードと保険証のひも付けは『マイナポータル』のほか『セブン銀行のATM』また、顔認証付きカードリーダーが設置されている一部の医療機関の窓口でも行うことができる。

大滝耳鼻科クリニック 大滝一 院長

大滝院長は「患者のマイナンバーカードを医療機関でひも付けしてあげると、浸透していって使用する方が高齢者でも増えてくるのではないか。暫定措置の期間は4カ月ほどしかないが、その間でできれば可能な限り対応してほしい」と話す。

そして、暫定措置が終了する26年度以降は、たとえ保険証を窓口で提示したとしても保険診療が受けられなくなり、費用は全額負担となってしまう。

ただ、保険証の有効期限が切れてしまっていても、保険資格が切れるわけではなく、マイナ保険証か、資格確認書を持参すれば保険診療が受けられる。

資格確認書の有効期限は多くが5年となっていて、期限が切れた場合は更新が必要になるという。

焦らなくて済むよう早めの対応が必要だ。