「新潟は発信下手」と語る2人のインフルエンサーが新潟市秋葉区のPR大使として活動している。この課題をどう打開していくのか…世代も背景も異なる2人が共に叶えたい願いや活動への思いについて取材した。
2人のインフルエンサー 新潟市秋葉区に新しい風
10月、新潟市秋葉区役所で会議が開かれていた。この会議の中心にいたのは、新潟県内出身のインフルエンサー、スマミーさんとあやかさんだ。
2人の総フォロワー数は6万人を超え、SNS上で地域の魅力を発信している。
スマミーさんは前職で広報の仕事をしていて、その頃からSNSを活用した情報発信に携わっていた。その経験を活かし、現在はインフルエンサー一本に絞って活動。特徴的な高い声で主にグルメ情報を紹介している。
一方、あやかさんは、新型コロナ禍で孤独を感じ、SNSを始めた。
同じように悩むママたちの力になりたいという思いから投稿を始め、子育て世代におすすめのスポットを取り上げるなど、独自の視点で新潟の魅力をPRしている。
そんな2人は、秋葉区のPR大使でもある。この日、区役所を訪れたのは、秋葉区のPR大使として行っている動画制作の確認作業に参加するためだった。
インフルエンサーとしてのノウハウを活用し、秋葉区に新しい風を吹かせている2人。
新潟市秋葉区役所地域総務課の加藤守係長も「我々がつくり得ない、新しい切り口やテイストで動画をつくってもらい、我々としてもこのお2人にお願いして良かったと思っている」と感謝の思いを口にした。
発信だけでなく…区役所職員に動画の撮影方法を伝授!
PR大使としての活動はSNSでの発信が中心だが、スマミーさんはその枠を超え、発信指導にも力を入れている。
この日は、秋葉区役所の職員に縦型動画の撮影方法を教えていた。
縦型の動画は、横型の動画と違い、多くの情報を映すことができない。そのため、画面をズームし、一部分だけを映すことで動画にいきいきとした印象を与えることができるという。
職員の深澤綾香さんは「こんなに一部分だけでいきいきと撮れるというのがすごく勉強になった」と驚きを隠せない様子だ。

その後、花を題材に“10秒撮影対決”を実施。
スマミーさんは光の入り方などに気を配ったほか、「水がすごく良かったので水を引き立たせながら、この水が植物を育てているというストーリー性を作りながら撮影した」と説明した。
完成度の高さに、職員の入山涼さんは「完敗。本当にきれいだったので、きょうのレクチャーを生かしてきれいに撮りたい」と感心の言葉を口にした。
スマミーさんが発信指導に力を入れるワケ「新潟は発信下手」
自身のフォロワー拡大のほか、地域全体の発信力向上にも力を入れているスマミーさん。その背景には、強い使命感があった。

「やはり開示して、その方たちのスキルになってくれるのであれば、そのほうが今後の新潟の発展にもつながる。新潟に定期的に来てくれる人が増えることにより活性化につながると思うので、そこを時間がかかってもいいのでつくり上げていきたい」
そもそも、このインフルエンサーをPR大使として起用するという発想もスマミーさんの提案から生まれたものだったという。
「新潟はやはり発信下手。発信下手を言い訳にずっと発信下手であり続けている。それが改善しないのが課題だとずっと思っている」
新潟の“発信力不足”を打開したいという思いから立ち上がったPR大使。
“自身が映ることも大切”子育て世代に寄り添う動画づくり
もう一人のPR大使、あやかさんも、「新潟はすごく楽しいスポットやいいお店がいっぱいあるが、PRがあまり得意ではないのではと思う」と同じ思いを抱いていた。

2児の母であるあやかさんは、子育て世代に寄り添う発信を行っていて、この日は秋葉区の人気和菓子店で子どもと一緒に三色団子作りを体験していた。
親子の微笑ましい会話が響き渡る店内。子どもの楽しそうな様子を様々な角度から撮影していたあやかさんは、自身が映ることも大切にしているという。
「本当に実在しているの?と聞かれたことがあった。本当にその辺にいるママが発信しているんだよというのが伝わるように、なるべく少し姿を映すようにしている」
移住の相談受けることもあるあやかさんには将来の夢も
“みんなのママ友”のような距離感で発信することを意識しているあやかさん。完成した動画には、県内の子育て世代から多くのコメントが寄せられていた。

「私のフォロワーさんはほとんどが新潟県内のママ・パパさんたちなので、子育て世代の声を集めることは、私はできると思っている」
フォロワーとのやりとりは毎日欠かさず行っており、近年では県外のママから移住の相談を受けることもあるという。
「進学で県外に出て行ってしまった人も、子育てを始めるために新潟に帰ってこようと思ってもらえるような新潟になっていくといいなと思っている」
将来的に子どもが思いきり遊べる全天候型の施設をつくりたいというあやかさんは、地域の子育て世代が安心して過ごせる環境づくりにも力を入れていきたいと意欲を見せた。
地元への愛情と行動力を武器に新潟の姿を発信し続ける2人。
新潟の“発信下手”という課題を打ち破り、地域に新しい風を吹き込んでいくことが期待される。







