「ケーキ300個分…」洋菓子店の電気料金は4万円値上げへ 空調・照明… スタジアムは節電に苦慮

東北電力を含む電力大手7社が、6月から一般家庭の電気料金を値上げする。
洋菓子店では、節電しているものの6月からの値上げによって電気代は月に4万円プラスすると言う。また、今回の値上げ対象になっていないスタジアムも節電に苦慮していた。

洋菓子店も悲鳴 「ケーキ300個分…」

新潟県村上市の洋菓子店。電気料金の値上げに頭を悩ませている。

 

 

杉山萌奈アナウンサー:
こちらのお店のヒット商品はターコイズブルー色が珍しい水晶のような見た目のケーキ「たまふゆゆ」。今はその人気ぶりから、8つの色と味をシリーズで展開していますが、作るためにはもちろん、オーブン・冷蔵庫・冷凍庫は欠かせません

たまふゆゆ

 

月約17万円かかっていた電気料金は、6月からさらに4万円ほど値上がりする見込みです。

パティスリーマルヤ 遠山浩司さん:
純粋で利益でペイしようとすると、売り上げ20万円くらいプラスしないと

(Q.たまふゆゆで換算すると?)
パティスリーマルヤ 遠山浩司さん:

1日300個

パティスリーマルヤ 遠山浩司さん

しかし、ケーキひとつひとつを遠山さんが丁寧に作っているため、大量生産は不可能。

パティスリーマルヤ 遠山浩司さん:
削るところは削る。睡眠時間とか

睡眠時間を削りながら、使用頻度の低い製氷機を止めるなど節電に努めているが…

パティスリーマルヤ 遠山浩司さん:
本当は氷をあてて冷やすので、もっと早く冷やせるけど、電気代節約のために製氷機を止めた。手で頑張って混ぜて冷ましている

それでも、たまふゆゆの土台となるタルトはオーブンで焼き、中のムースはー30℃で急速冷凍する必要がある。

パティスリーマルヤ 遠山浩司さん:
―20℃くらいだと型からきれいに取れなくて、―30℃までいかないときれいに取れない。お店で一番使うのは冷凍庫。ないとどうにもならない

ムースを型からきれいに外すため、ー30℃で冷凍

電気料金だけでなく、生クリーム・小麦粉・卵など多くの原材料価格が値上がりしても、パティシエとして遠山さんが願うのは…

パティスリーマルヤ 遠山浩司さん:
仕込みのときの電気代は上がっちゃうけど、頑張って作るので、皆さんは電気代のことは一時忘れて、スイーツで幸せになってもらえれば

スタジアムの電気料金は1.5倍に

Jリーグの公式戦が行われる、デンカビッグスワンスタジアム。

デンカビッグスワンスタジアム(新潟市中央区)

6月の値上げは対象外だが、デンカビッグスワンも電気料金の高騰に悩まされている。

2021年に2400万円だった年間の電気料金が、2022年は3600万円と1.5倍に。

デンカビッグスワンスタジアム管理所 本間初雄 課長:
過去一番高い。電気代は一番ピークになっている

デンカビッグスワンスタジアム管理所 本間初雄 課長

スポーツの舞台を整えるために必要な様々な電気。最も電気料金がかかるのは空調だという。

その日の外気に合わせ、選手が心地よく過ごせる室温に設定する必要があり、モニターでそれぞれの部屋のリアルタイムの室温を監視している。

デンカビッグスワンスタジアム設備監視員 嶋史郎さん:
気温が高ければ下げるし、試合終了後のクールダウンでも必要なので、室内温度を下げる

モニターで室温を監視

そして、空調の次に電気を使うのが…

デンカビッグスワンスタジアム管理所 本間初雄 課長:
ナイター照明。これも電気代がかかる要素になるかもしれない

夏場のナイトゲームを支える照明は、現在、省電力を叶えるLEDへの取り換えが進んでいる。

デンカビッグスワンスタジアム管理所 本間初雄 課長:
バックスタンド側の中央から右側と正面側、全てがLEDになっている。水銀灯のときより60%くらいに低減されると思う

こうした施設の改修と同時に行われているのが、地道な節電。廊下の照明を間引いているほか…

松村道子キャスター:
もう一つの節電対策がエレベーター。こちら2基ありますが、大きな試合などがないときは、一基のみを稼働させるように設定しています

エレベーターは1基のみ稼働

ときに数万人という観客が訪れるスタジアム。

デンカビッグスワンスタジアム管理所 本間初雄 課長:
お客様第一に運営するのが大前提

観客の安全を妨げない範囲での節電に苦慮しながら、電気料金の高騰と向き合っている。