
新潟水俣病の公式確認から5月31日で60年を迎えました。新潟市では再発防止のため、その歴史と教訓を伝えるつどいが開かれましたが、いまだ救済を求める被害者の戦いは続いています。
■“新潟水俣病”公式確認から60年
【新潟水俣病阿賀野患者会 皆川榮一 副会長】
「新潟水俣病は企業活動によって川が汚染されて、行政の排水規制がなされず、私たちのような多くの水俣病被害者が生まれた」
阿賀野川流域で発生した新潟水俣病。
昭和電工・鹿瀬工場から阿賀野川に流された工場排水にメチル水銀が含まれていたことで周辺住民に手足のしびれをはじめとした感覚障害なと大きな被害をもたらしました。
その新潟水俣病の公式確認から5月31日で60年。新潟市中央区ではその歴史と教訓を伝えるつどいが開かれ、被害者団体や国・原因企業の関係者など約300人が出席しました。
【レゾナックHD 高橋秀仁 社長】
「原因企業として、改めて深くお詫び申し上げます」
こう謝罪する旧昭和電工の高橋秀仁社長に対し、筆談で自らの思いを訴えた胎児性水俣病患者の古山知恵子さん。
【胎児性水俣病患者 古山知恵子さん】
「私をこんな体にしてどうしてくれるんですか、責任を取ってください」
これまでに717人が患者として認定されていますが、いまだ被害者全員の救済を求める裁判が続く新潟水俣病。
【新潟水俣病阿賀野患者会 皆川榮一 副会長】
「認定制度の不適切な運用が行われたため、被害者救済の課題が残され、いまだに新潟水俣病は終わっていない」
■“全員の救済”求める被害者 環境相と懇談も進展なく…
「新潟水俣病は終わっていない」式典に出席した浅尾環境大臣に対し、被害者からは全員の救済を求める声が上がります。しかし…。
【新潟水俣病阿賀野患者会 皆川榮一 副会長】
「私たちが求めているのは今、早期にどうやったら解決してくれるのかという、そこなんですよ。そこを大臣の言葉で聞きたかった」
式典の前後に行われた懇談でも浅尾環境大臣は「現在の法律の運用を丁寧に進める」と繰り返すのみ。
【被害者】
「何度もそれ(症状)を申し上げた。でも、前に出た結論でずっと通されるのであれば、こんな場を設けても何の意味もない」
【被害者】
「もう少し私たちの気持ちをくんでください。自分の身になって、自分の親族がそうなったという思いがあれば、もう少し判定の仕方が違うのではないか」
現行の制度では認定されなかった被害者たちが時折涙ぐみながら認定基準の見直しを求めても。
【浅尾慶一郎 環境相】
「これまでの最高裁判決で昭和52年の判断条件は否定されていないと理解している」
さらに、熊本県で来年度にも開始される健康調査について、新潟県でも被害の全容解明に向け、実施を求める声が上がりますが、大臣が具体的な実施時期を明言することはありませんでした。
【胎児性水俣病患者 古山知恵子さん】
「昭和電工が毒を流さなければ、私たち患者は生まれなかったし、苦しまなかった。そのことが悔しい」
【新潟水俣病阿賀野患者会 皆川榮一 副会長】
「私たちが主張してきたことは環境省には全く伝わっていないということを改めて感じた。あまり収穫がないというか、残念でならない」
公式確認から60年が経っても被害者が戦い続けている現実…。
【浅尾慶一郎 環境相】
「それぞれの皆様から様々なご要望をいただいて、できることについてしっかりと取り組んでいきたいと考えている」
早期の解決を求める声に国は真剣に耳を傾けているのか…今後の動向を注視していく必要があります。
最終更新日:Mon, 02 Jun 2025 18:50:37 +0900