30日に新潟市北区の阿賀野川沿いに向かってみると…
【記者リポート】
「こちらの堤防を挟んで内陸側 は、黄金色に色づき始めた田園風景が広がっています。一方、川岸のほうを見てみますと、あたり一面茶色く収穫前とは思えない田んぼとなっています」
広がっていたのは収穫を前に、稲が枯れ果てた茶色い田んぼです。
【コメ農家 五十嵐作雄 さん】
「塩害だと思うよね。50年くらいやっているけど初めて」
稲が枯れた理由は塩害。
新潟市では7月から雨がほとんど降らず、阿賀野川では川の水位が下がり、海水が逆流したことで、農業用水に塩水が混ざったと見られています。
【コメ農家 五十嵐作雄 さん】
「何も入っていない・・・空だ」
川沿いでコシヒカリを育てている五十嵐作雄さんは、猛暑の続いた8月11日、稲を枯らせないようにと川から取水している農業用水を田んぼに流しました。すると翌日、その思いとは反対に稲が枯れていたと言います。
【コメ農家 五十嵐作雄 さん】
「(他の農家と)”水が何か変だな”なんて言って、なめたら、ものすごいしょっぱいんだよ。恐らく食べられない」
収穫を目前にした塩害に、肩を落とす五十嵐さん。
【コメ農家 五十嵐作雄 さん】
「広がると思う、覚悟を決めています」
被害を受けて、実態解明に向けた調査も進められています。
【新潟大学農学部 三ツ井敏明 教授】
「長い海岸線があって、すぐそばに水田が広がっているので。新潟というのは塩害に注意していかなければいけない」
新潟大学農学部の三ツ井敏明教授。暑さや塩害に強いコメの研究をしていて、8月25日に北区の塩害現場を調査しました。現場で採取したコメを食べてみると…
記者:「しょっぱい」
【新潟大学農学部 三ツ井敏明 教授】
「ですよね、確実にわかりますよね」
記者:「すぐに崩れてしまいました」
【新潟大学農学部 三ツ井敏明 教授】
「それはやっぱり、ちゃんとデンプンがたまって結晶化していないので、粉質みたいになっているから」
採取した土壌からは通常の約7倍の塩分を検出。三ツ井教授は採取した物を分析して塩害対策の研究を進めるほか、今回被害に遭った田んぼの塩分濃度が今後どう推移するか調査を続ける考えです。
【新潟大学農学部 三ツ井敏明 教授】
「そのまま塩分が残っていたら稲作ができないわけですから、そういう意味でもその情報を農家さんにはお渡ししようとは思っています。恐らく無くなるとは思いますけども」
塩害はどこまで広がるのか…農家にとって厳しい環境が続きます。最終更新日:Wed, 30 Aug 2023 18:50:51 +0900